前作のレビューがなぜか良くブログ検索されていたので、この作品も読んでみました。古代マケドニア風の架空の国を舞台にした歴史物ラブロマンスの王道を貫く良作です。

王である異母姉を助けるため女の身で副将軍を務め実力から<明星(アーシュティルティ/戦を司る女神)>の二つ名を持つレイアは、次の戦の為に春の祝祭で賑わう中立国を訪れた。自分の素性を隠しつつ街を楽しむ彼女はやはり身分を隠して訪れていたリギュロンという男と出会い、恋に落ちる・・・次の祝祭で再び会うことを約束して・・・しかし、二人が再会するのは、お互いに予想もしない場所だった…


主人公レイアが、祝祭の一日で男と深く恋に落ちる様子がとても好ましく描かれていて、その後の運命の皮肉が二人を翻弄する様に説得力がある。
二人の運命が別々の方向に進み始めるあたりはとても読み応えがありました。

が、良い設定なのに結末に向けて一息に進んでしまって、ちょっともったいない感がありました。
レイアの恋の相手・リギュロンが何を思って将軍まで上り詰めたのか、もう少し丁寧に書いて欲しかった。(彼がどういう風に国について考えているか、という辺りは丁寧に表現されていたので・・・とくにそう感じるのかも)

前作でも感じたのですが、文庫本1冊で収めるには、設定がもったいないと思います。
挿話として描かれる彼女の副官と敵対してきた国の女性の結婚や、クーデターなど、じっくり読みたいエピソードが満載です。

次回作も期待します。

2012年7月1日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2012年7月1日]
カテゴリ ライトノベル
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”◄►ターン。また昨日に戻ってる・・・私はたった一人で、この同じ一日を永遠に繰り返すのだろうか。"(文庫版帯より)
主人公・真希はある夏の日、自動車事故に合う。気がつくと自宅の座椅子で転寝から目覚めるところだった…生命の気配のまるでない、ただ自分一人だけ存在する世界で何をなしても、全てがリセットされ前日の3時15分に戻ってしまう毎日を繰り返す…1本の電話がつながるまで…

音がない世界とはどんなものだろう?自分以外の生物が存在せず、テレビもラジオも砂嵐。自らが発する音以外存在しない時間に主人公・真希は取り残された。
その時間は生み出したすべてをリセットし、うたた寝から目覚める前日の午後に戻り、また同じ時間から始めるのだ。
そんなファンタジックなシチュエーションを超えて、見ず知らずだった男女が"声"だけの交流で、純粋に相手を思いゆっくりと心を通わせる様子が穏やかで温かくて切なくて胸の高まりがとまらない。
二人をつないだのは一枚の真希の版画。お互いがお互いの作品から伝わる人柄に惹かれ恋に落ち、会えない運命に焦がれる上質の恋愛小説だと思う。
北村薫さんの作品は、主人公が自らを深く見つめなおす眼差しが優しくて好きだ。たくさん欠点だったり-後悔だったり、諦めだったり-あるけれど、でも"自分が愛おしい"と言う気持ちがひたひたと伝わってくるのだ。
真希が『自分が何を蔑ろにしていたのか』気付いた時、本当の自分の望みと向き合った時、時間の魔法は再び力を取り戻す。
真希が直面した事態は、実は日常にも置き換えられる事じゃないだろうか?何も変わらないと無為に過ごすことは、大切な何かを自ら蔑ろにしていることじゃないのか?作者は真希を通して大きく語りかけてくる。

全てが最後の言葉に凝縮され、わたしはこの言葉が持つ本当の優しさを知った。

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2012年4月26日]

雪の降る夜が待ち遠しくなる物語。
まるで詩や絵本を眺めているような豊かな情景が広がる。

主人公「雪のひとひら」に投影されたのは女性の一生。

なぜうまれてきたの?私をうみだしたのは誰?疑問に思いながら、彼女は仲間たちと一緒に空から舞い降りる。試練を乗り越え、最愛の伴侶を得、家族と共に長い旅に出ます。穏やかな湖の生活、淀んだ排水溝を行き、炎と戦い、そして最愛のひととの別れ。孤独。
そして最後に想うのも、自分の存在の意味。

普遍的に存在する「自分の存在の意味」の問いかけ。具体的な解決策ではないけれど、はっと気づかされる言葉がたくさんありました。

幼いころ、手袋にくっついた小さな雪の結晶に見入っていた自分を思い出す。あの頃買ってもらった、雪の結晶の写真集は、今どこにあるだろう…同じものは一つとして存在しない雪の結晶。わたしという存在も唯一無二なんだよね。。

2010年11月28日

読書状況 読み終わった [2010年11月28日]

読書状況 読み終わった [2010年11月29日]

「―いつだかわからない時代の、どこだかわからない場所でのお話」

この言葉がこれほどぴったりくる物語もないのではないか。まったく「世界」を説明する言葉がなく、時にイコであったり、村長であったり、それぞれの立場で見る限定的な視界だけで、物語は粛々と進んでゆく。
主人公の少年イコは、人々を恐怖で支配する「霧の城」の生贄の証し「ツノ」を持って生まれた”ニエ”13歳になり、しきたりに従って、生贄として霧の城へと赴く。そんなイコを助けようと彼の親友トトは、一人禁忌の山へ向かい「光輝の書」を村にもたらした…
しきたりに反発した少年の行動は、ニエの運命、世界の運命を大きく揺り動かす…

ずっと薄闇の中に居るような不安が作品中を覆っていて、早く早く先に先にと読むのをせかされました。宮部作品に共通する素直で友情に篤くて、どこかズルイ少年二人がとても明るく魅力的。
ゲームのノベライズということだけれど、どんなゲームなのかちょっと興味あるなぁ。

2010年11月20日

読書状況 読み終わった [2010年11月20日]

コバルト文庫ロマン大賞受賞作品。
中世ヨーロッパ風の架空の世界を舞台に描かれる王と王妃の悲劇の物語。
実の父を殺して帝位に就いた皇帝エドリックは "お世継ぎ" を得るため結婚・離婚・死別を繰り返し、ついに国内に妃にふさわしい女性は地方の伯爵令嬢アイリスのみとなってしまう。アイリスには婚約者がいたのだが引き離され、皇帝に嫁ぐ。心を氷で覆う皇帝にアイリスは…。

内容は王道の恋愛小説。ツンデレ系皇帝と頭に花が咲いてるかと思いきや語学堪能で広い視野を持っていた田舎の伯爵令嬢出会って、お互いをかけがえのない人と思いあう物語ですから。
ですが読み口は少女系ヨーロッパ版『後宮小説』のよう。後世の歴史家がアイリスの墓の修復中に新事実を発見し、その最新の研究がベースになっています、という体裁で物語は展開、彼女はなぜ「そのように埋葬されたのか」歴史を紐解く感じなのです。
結末は決まっていて、それに向かって突き進むスタイルで話は進むのですが、架空の世界を説明する部分も主人公の二人の心情や取り巻く人々の心情も、どちらも中途半端でもったいない。狂言回しが不在だったからかな。
エンディングへの伏線とかすごく良いんですけど(思わずニヤリとしてしまう伏線ですね)…投稿作品にするには詰め込み過ぎだったんじゃないかなぁなんて思いました。

世界を整理して、エンディングに登場する伏線の人物で続きが出ることに期待♪

2010年10月31日

読書状況 読み終わった [2010年10月31日]
カテゴリ ライトノベル

読書状況 読み終わった [2012年4月26日]
カテゴリ 小野不由美

穏やかな時間が訪れたシリーズ第18巻。
19世紀ヴィクトリア朝のイギリスを舞台に、淑女の心をうつしだし輝かせる「恋のドレス」の仕立人クリスと公爵家長男シャーロックの身分違いの恋を縦軸に、人の心の暗闇を暴きだす「闇のドレス」の暗躍を横軸に描かれる物語もいよいよ佳境に近づいてきた模様。前巻で「闇のドレス」= 母親 と決着をつけたクリスは、身分の違いを超えて惹かれあうシャーロックと『今この瞬間』ではなく『一緒にいる未来』に目を向け始めました。
二人だけの時間を過ごすシャーロックとクリスがとても素敵に描かれています。クリスは恋人に対してまた少し心を開き、シャーロックは包容力に気づき始めた…そんな感じかな。読んでいてとてもとても「恋」したくなりました♪
久しぶりのキスの寸前に起こるちょっとした事件。拗ねるクリスも慌てるシャーロックも、もう可愛くって(笑)
そんなやり取りすらひたすら「甘い」これぞコバルト!な醍醐味です(笑)

そんな二人は次巻でシャーロックの実家に乗り込みます。アルフとの約束を反故にしたクリスの決意を受けて、果たしてどうなるのか…次巻が待ち遠しいです!

2010年10月29日

読書状況 読み終わった [2010年6月9日]
カテゴリ 再読必須

1989年に出版された単行本の帯に「シンデレラと三国志と金瓶梅とラスト・エンペラー」(井上ひさし氏)とあったとても魅力溢れる小説。高校入学を間近に控えた春休みにアニメを見、原作を貪るように読んだのを良く覚えている。

『腹上死であった』…この意味すら全く分からなかったあの頃…よくこれを読んで面白いと思えたなぁというのが今の感想。逆にそういう枝葉を知らない10代の多感な頃に読めたことが余計にドキドキを増して良かったのかもしれない。

それにしても"素乾" には完全にだまされた。持ってた社会の資料集を調べて調べて…架空の国と理解したときの驚きといったら。
完全に一国作り上げ、その歴史書を紐解くかのように語る口調に圧倒された。銀河や双槐樹の恋、魅力的な後宮の女性たち。退廃に満ちた帝国末期に反乱軍。
「ファンタジー」という言葉から想起される「剣と魔法」や「妖精」といったツールが登場しない、これまでの概念を完全に覆すこの小説が面白くない訳がない。
20年経っても全く古びていない、とっても面白い小説。

2010年6月8日

久々に読み応えのあるライトノベル。全9巻の最終巻にふさわしい物語だった。

ジゼットが自分の気持ちに気付く『眠れる望楼』
ラビサが無邪気な少女から一歩踏み出す『あざなわれし者』
お互いがお互いを大事に思うが故に離れてしまう『暗夜琉々』
自分の望みがなんであったか気付き、相手に想い焦がれる『鋼の旋律』

否応なく変革の波にさらわれていくジゼットとラビサが、お互いを想う気持ちを自覚したのもつかの間、そのためにすれ違い離れ離れになっていくのは読んでいてとても辛かったのだけれど、この『かさなる輝跡』ですべてが「かさなって」とても幸せな気持ちで読了した。

緊迫した状況の中の二人の再会。
ジゼットの胸で泣くラビサと、ラビサの胸で泣くジゼット。自分の想いを伝えて、お互いを受け止めあう二人の想いの深さに涙が止まらなかった。戦いのさなか、お互いに言葉を交わす時がなくても、目が合うだけで全てが分かりあえる二人にも。

ジゼットの戦いは本当に厳しいもので、戦いを終えたジゼットに待ち受けていた運命に、ラビサと一緒に絶望した。きっとこれがリードゥの言った「光が闇にのまれる」だったのかな。そんなラビサを守ったのはやっぱりジゼットだった。ジゼットがラビサを心から大切に想う気持ちがあふれていて、必死に運命に抗おうとする半狂乱のラビサにまた泣けてきて……

ぼろぼろ泣いていたところ、シムシムが登場したのにはちょっと驚いた(唐突な感じがあったので…)ラビサって"イフリート憑き"だけじゃなくて"シムシム憑き"でもあったのかしら、なんて失礼なことを考えて、二人とも助かるならまぁいいや♪と一気に涙が止まりました。

眠りから覚めたラビサとジゼットの「再会」は14歳で孤独な戦いに挑んだジゼットの本当の意味での「戦いの終わり」で、このシーンの為に描かれた物語だったんじゃないかと想うくらい、素敵だった。
ほんと、涙なしには読めなかった。
こんな読了後の気持ちのいい物語は久しぶりで、出会えたことに感謝です。

それにしても…最後に差し込まれた10年後の二人に、生殺し気分を味わっている人も少なくないに違いない!巡察使として、一緒に旅をする二人の物語を読みたいです。ライフワーク的な小説にしてくれないかなぁと希望します。
(ほら、ルルル大賞の審査委員である榎木洋子さんは、ずーっとリダーの世界を描いている訳ですし!なんて。。あくまで希望ですが)

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

沙漠の国の物語 第8弾。再び "星読みの徒" の手に落ちたラビサは "星読みの正巫女" リードゥの協力を得ようと"星読みの徒" の内部を探る。沙漠に混乱をもたらした黒幕の姿がいよいよ明らかになる…ラビサとジゼットがずーっと離れ離れで寂しいけれど…随所に二人がお互いを想う心が描かれていてとても切ない物語になっています。

自分ができることは何かを懸命に考え行動するラビサの姿はとても凛々しいけれど、緊張の糸がどんどん張り詰めていくようで、とても辛い。そんな時に思わぬ形で沙漠の騒乱の原因を知ることになり、混乱するラビサが想うのはジゼットのことで。彼女が思わず口にする言葉が本当に切ない。
一方ジゼットはゼクスや元旅団仲間たちのサポートを受けて、着々と事態の核心に迫る。状況を聞きラビサを想い逸る心を、周囲の大人が巧くフォローしていて、前巻でトゲトゲだったジゼットがとても冷静で穏やかでほっとする。「ありがと」なんて、気が張り詰めてる時には言えないものね。

ラビサとジゼットの緩急が物語をどんどんクライマックスに導いていて、とてもいい流れ。いい緊張感があります。

そんな主人公二人の描写はとても好いんだけど…正直 "星読みの徒" にまつわるストーリーは蛇足に感じるくらい弱い(何事も"運命" で片付けちゃうからイヤってのもあって今まで感想もあまり書けなかった)キーパーソンのリードゥにも大きな転機が訪れるんだけれど、あまり納得できないというか…書き込みが足りていない感じがするなぁ。

なにはともあれ、ラビサとジゼット、リードゥも。それぞれの決着を着ける為、舞台は不穏な空気が漂う聖地カヴルへ。楽しみです!

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

沙漠の国の物語 第7弾。ラビサは険しい瞳で短剣を胸に構え、ジゼットは表情の無く刀を背負う…ジゼットの足手まといにならぬ様、強くなることを決意するラビサ。ラビサを思うが故に距離を置くジゼットは "砂嵐の後継者"の頭・ザクロを討つことを二度とタラスファルに戻らぬ覚悟で決意する…

ラビサにカヴルから一時帰還の指令が届いた。ジゼットに護衛を頼むが断られてしまう。ジゼットの様子に「これが最後のような」違和感を覚えるラビサが必死に言い募る場面はとても切なかった。
振り向いて欲しくて、ついに口にした言葉も、届かなくて。後に残されたラビサの姿が本文で語られないだけに辛い。こんな状況で離れなければいけないなんて、切な過ぎる。だけどそれを振り切って行くジゼットも、ゼクスにラビサも自分の気持ちも預けるしかできなくて。恋をあきらめなければならないジゼットが切なくてならない。
そんな心を隠して、二人は別々の道を行く。パートナーが入れ替わっての道中は、それはそれで楽しい。折に触れて傍にいない相手のことを考えているのは、とても切ないなぁ。

"星読みの徒" の魔の手は、とても卑劣な方法でラビサを襲う。自分で自分の身を守らなければならない事態に陥って、ラビサは剣を使う覚悟を決めるが、一方でその間違いに気付く。自分の気持ちにきちんと目を向けたラビサは、自分の道を探す決意をし行動する。ゼクスの言うとおり「いい女」だね!

一方ジゼットも負けてない。アリヤの直球、ビッキの脅し、ホレブのダメ押しもあって、何故、自分が行動を起こしたのか、色々理由をつけて見えなくしてしまった自分の心を取り戻す。迷いを断ち切って前を向いたジゼットは、本当にかっこいい!

ラビサは、星読みの正巫女・リードゥに会うために一人、星読みの徒の本拠地に向かう。ラビサはリードゥと出会うことができるのか…
色々なことが一斉に動き出し、どんな結末に向かうのか、ジゼットとラビサは再会できるのか、続きが楽しみです。

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

沙漠の国の物語、大きく世界が動き出す第6弾。
ジゼットの恋心が走り出し、ラビサの戸惑いが鮮明に描かれます。新キャラのゼクス&ビッキもとても魅力的です。

ラビサは、仔リグーの誕生やシムシムの成長を見守ったり、アリヤの面倒を見たりと、タラスファルでとても穏やかな生活を送ってた。
一方聖地カヴルでは、ラビサの兄ハディクが復興に向けてカヴル隊商都市化を提案していた。他者を拒んできたカヴルの大きな方向転換に街の人々は戸惑いを隠せずにいた。そんな会議の最中、血に染まった伝書鳩が舞い戻る。それは、事前調査に出発した仲間が"砂嵐の後継者"を名乗る義賊に襲撃されたことを告げるものだった…
「"砂嵐の後継者" カヴル襲撃の報」はすぐさまタラスファルに伝えられ、ジゼット達は 元"盗賊団" としての決着をつけるべく動き出す…

……出発前のジゼット。青春です。ほんとにもう。前巻で覚悟を決めてるから、まっしぐらって感じ。思わぬ場所でラビサと再会して…嫉妬で余裕がなくなってるジゼット…年相応(よりも少年っぽい?)で、可愛すぎる!

ジゼット不在の中、ラビサはトラブルに巻き込まれ、遊動民の一族と出会う。ラビサちゃん、なんなのその警戒心のなさは!と言いたいところだけれど、そんなラビサだから魅力的なので、仕方ないか…この一族と "砂嵐の後継者" との出会いが、ラビサの迷い(前巻ではまだ漠然としていた思い)を明確にする。

ラビサの心の迷走は、本当によくわかる。
好きな男を否定したくない気持ち。ありのままを受け入れられない自分が未熟に思えて、自分が変わるしかない、と。女の子らしいところがあまり見えないラビサだけど、目一杯、恋する女の子だなぁって。
ジゼットはジゼットで、大きなジレンマを抱え込むようになってしまう。『最初から間違っていたのでは…』と思ってしまった気持ちは、一人で抱えるには重たすぎるものなのに、開放する手段を自ら手放してしまうから…屈託のない触れあいが消えてしまったのがとても悲しい。

見え隠れする"星読みの徒" の動きも不気味で、ますます目が離せません!

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

沙漠の国の物語・第5弾はジゼットとラビサ、お互いに惹かれあう気持ちを自覚する、思わず顔がにやける物語。名言のところにも書いたのだけど"「多分濡れ衣だ。俺はどちらかというと段階を踏むタイプだと言っておいてくれ」" (P38) って。
かなり段階すっ飛ばしてますけど…?

舞台は至星(こちらで言う冬至?で大晦日?のようです)で賑わうマンナ。タラスファルの織物をマンナに運ぶ仕事を手伝うことになったラビサだが、なぜか元気がない。そんな様子を心配したジゼットがなにかと構う中、ひょんなことからマンナの幽霊&殺人騒動に関わることになり…

ラビサの意外な弱点とそれを知ったジゼットのイジワルに、思わずニヤニヤしてしまう。イジワルが過ぎて、ラビサの心に秘められた深い悲しみを呼び覚ましてしまった時…ジゼットの心はラビサに決定的に捕らえられる。好きな子をちょっとからかうような軽さが消え、決意に変わる。残念なことにその決意はラビサにまだ、届いてはいないけれど。
どたばた騒ぎの後、ラビサとジゼットに訪れた夜明けの瞬間が、とても素敵です。ラビサは言えなくなってしまった自分の嘘をジゼットに告げ、でもとっくに決意をしているジゼットはそれを知ったところで揺らぐ訳もなく…真っ直ぐな彼の言葉でラビサが笑顔を取り戻す場面は、ジゼットじゃなくても見惚れてしまう。

ジゼットの言葉を受け止め、今の状況から一歩踏み出す覚悟を決めるラビサ。全てから守ると誓うジゼット。

そんな二人の想いはまだまだ心の中にある状況で、世界の変革の波が姿を現わし始める。一つは砂嵐の後継者を名乗る者。一つは星読みの徒たち。これからどう動いていくのか、続きが楽しみ!

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

沙漠の国の物語 第4弾。
ジゼットにライバル現る?

園丁学生の試験を受けるため、故郷のカヴルに帰ることになったラビサ。町に見慣れない姿をしている人々を見つけ、町が変貌しつつあることを肌で感じる中、ラビサは星読みの正巫女・リードゥと出会う…

約1ヶ月間、離れて過ごすことになるジゼットとラビサのやり取りが見もの。「故郷に帰るだけ」とのんびり構えるラビサに「迷子札」胸飾りで自己主張するジゼットがとても…良い。

沙漠の世界に新たに登場したのは「宗教家」とも言うべき星読みの徒たち。星を読み運命を説く彼らは、今までの価値観が壊れて不安定なカヴルの人々の心にこっそりと忍び寄っていて、不気味です。

さて、そんな中久しぶりに故郷に帰ったラビサは、幼馴染たちも園丁試験を受けると知り無邪気に喜ぶが、なぜかよそよそしい態度で迎えられてしまう。売り言葉に買い言葉で、落ちたら園丁見習いの立場を返上すると宣言してしまう。落ちたらタラスファルにいる名目がなくなってしまうため、必死で試験勉強をしようとする妹を、できれば手元においておきたいラビサの兄・ハディクや彼の恋人・アイシェが邪魔をするシーンはラビサが本当に愛されてるなぁとほのぼのしてしまいます。お兄ちゃんは今まで切羽詰ったシーンしかなかったからね。

幼馴染サユンのギクシャクは「ただの幼友達」から「大事にしたい女の子」にラビサの位置が変わっていたが故なのだけれど、ラビサが全然全く気づいていないのが…ちょっと哀れ。しかも男からもらった風の胸飾りを見つけてたら、そりゃ逆上もするよね。
ラビサにとってサユンは心から信頼する「親友」で。惚れた女の子に「親友」宣言されたサユンは…自分の心が何に苛立っていたのか気付いてとっても好いオトコになってましたね。今後が楽しみです。

一ヶ月ぶりに再会したラビサとジゼット。いつの間にか一緒にいるのが当たり前になっていた二人の再会はちょっとドキドキ。ついにラブラブモード!? かと思いきや…リードゥが不吉な予言をジゼットに告げ、なにやら不穏な気配が漂い始める…ジゼットの不安が今後どう影響していくのか、目が離せません。

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

沙漠の国の物語 第3弾。
ジゼットを意識し始めたからか、イラストのラビサがどんどん可愛くなります!

秘密が明かされ平穏が訪れたタラスファルの町。沙漠に何年ぶりかの雨が降った。町の男たちは雨を楽しむが、やがて枯れ谷が鉄砲水の川と化す。そんな濁流に一人の女の子が流されてきた。ファティと名乗るその少女は、嫁入りの旅の途中に鉄砲水にあって流されてしまったらしい。そんな彼女を送り届けることになったラビサとジゼットだが…

沙漠の激動の歴史から少し離れて、ラビサとジゼットの日常が描かれます。日常といっても…必ず厄介ごとに巻き込まれるわけですが。
ファティを信じるラビサとファティに裏を感じ警戒するジゼット。
「お人好しもいい加減にしろ」と言いながらもラビサの気持ちを尊重して彼女に付き合うジゼットは、ほんとにラビサが大切なんだなぁと伝わってきます。なので隙あらばラビサをいじめたり触れたり、抱きしめたりするジゼットがとても可愛い。

自分すら信じることができなくなったファティの心を解きほぐすことができたのは、人に裏切られることを恐れないラビサで。彼女がファティに語る一言一言はとても優しい。心に沈む澱は涙で流される。悔いは残るけれど、きちんと前を向いたファティがとても素敵だった。
ラストは、思いがけない展開でめでたしめでたしではなかったけれど、次の物語を感じさせる良い終わりでした。
新登場のキャラがジゼットの強力なライバルになり得るのか、楽しみです!

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

デビュー作『沙漠の国の物語-楽園の種子』の続編。


「シムシムの使者」としてたった一つ実ったシムシムの種子を"砂嵐の町" タラスファルに託したラビサは、園丁見習いとして再びこの町を訪れる。
解放された故郷の復興に忙しい毎日を送るジゼットと、自分がすべきことが何なのか見えずに焦るラビサが、すれ違いながらもだんだん惹かれていく様子がとても爽やかな物語。お互い気になっているのに、本人たちより周りの方が気付いているというのはお約束だけど、ニヤニヤしてしまいますね。

そんな微笑ましい二人とは裏腹に、取り巻く現実は過酷なもので。

砂嵐旅団の魔の手がラビサに迫りイフリートの力で何とか難を逃れたものの、旅芸人の一座に拾われ奴隷にされたり、奴隷商人によって売り飛ばされそうになったり。ジゼットの機転で助かったものの、砂嵐旅団頭領のカヤルに捕らわれてしまったり。状況の変化がとにかくめまぐるしい。

ジゼットは兄と慕っていた砂嵐旅団の頭領カヤルと決着をつける。
カヤルの闇はジゼットの闇よりもなお深くて。自分の孤独を、他者を憎むことでしか隠すことができなかった、彼の存在自体が歴史が生み出してしまった罪なのだろうと思う。

ジゼットが過去と戦っている間、ラビサは、自分が使者の旅でもたらした世界の変化の波の一端を見ることになる。少女らしい潔癖さと素直な言葉は、周りの大人をも動かし歴史の大きな転換を迎える。
光が大きければ影もまた大きい。新たな火種の存在が明らかになるなど、沙漠の世界はまだまだきな臭いけれど、そこは次のお話ということで。

ゆっくりとお互いを意識し始めたラビサとジゼットの大切な「約束」
もう二人から目が離せません!

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル

第1回小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門大賞受賞作でデビュー作。

沙漠の国に水をもたらす奇跡の樹シムシム。人の感情に左右されるシムシムはいつしかカヴルにある1本を残すのみとなり、5年に一度できる種子は年々その数を減らし、ついにたった1粒となってしまった。
そのたった一つの種子を植えるに相応しい町を探すため「シムシムの使者」として聖樹シムシムに選ばれたのは少女ラビサ。彼女の旅立ちの直前、聖地カヴルが使者を狙う盗賊団"砂嵐旅団"に襲われる。あわやのところで謎の少年ジゼットに救われたラビサは、彼と二人で沙漠の国を旅することになる…

守られた聖地カヴルを出たことがない世間知らずの少女ラビサと、一人で沙漠を放浪し世慣れたジゼットの道中のデコボココンビぶりがとても楽しい。隊商都市マンナで、自分の使命を忘れて「はしゃいでしまった」ラビサは年相応な感じでとても可愛らしく、いつの間にかラビサが大好きになってしまったし、かつての仲間を殺めた後悪夢に苛まれるジゼットの心の闇は、普段の彼がとても明るいだけにとても悲しい。

そんな対照的な二人の旅の中で、少しずつ「真実」が明らかにされていく。
人の思惑が複雑に絡み合う中、悩み苦しみながらも、ラビサはラビサの、ジゼットはジゼットの、大切な想いを貫く様は若者らしい勢いがあって、とても快感!

最後の最後での決着の付け方が強引と言えば強引、中途半端なんだけど、続巻できちんと決着をつけているから、まぁ良しとしましょう。

『楽園の種子』は失われた町で芽吹き、一つの時代の終焉と、新たな時代の始まりを告げる。ラビサとジゼットの二人の長い旅はここから始まる…

2010年5月25日

読書状況 読み終わった [2010年5月25日]
カテゴリ ライトノベル
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