人とは違う経験を経て、生きていく上で重要なことに気づく。
その一つの形態として、古来から取り組まれてきたのが、宗教的な「修行」。
宗教分野に造詣の深いジャーナリストが、神道、仏教、キリスト教と幅広い宗教分野の12人の日本人に取材し、「修行」とは何か、宗教的信仰にどのような影響があるのかを解説した一冊です。
標高差1400m、往復14kmの道のりを合計千日間歩くという、大峯回峰行。
修行と聞いてまず連想するそのような荒行から、大きな声を繰り返し発する行、さらには経済的に貧しい人たちが集まる街でミサを行い人々と聖書に向き合う日々を送ることなどなど、さまざまな形態を紹介しています。
紹介されている人たちの共通項として感じたのは、「人生とは何か」「自分はどう生きるべきなのか」というようなことを、真剣に考えているのだなあということ。
その答えを求めている中で、修行の道に入る、そして何かをつかむ。
何がつかめたかについて書かれた部分は、自分の事前知識では読み取るのが難しかったのですが、頭を含めた身体を極限まで使い続けることで、得られる領域があるのだと理解しました。
そして著者は「あとがき」にて、修行の道にあこがれて安易に入り込むことの危険性を、警告しています。
紹介されている人の経歴を見ると、修行を複数回(修行のステップとして必要な場合もあり)繰り返している人もいます。
またひとつの行をやり通しても、得られるものがなかったと正直に告白している人もいるので、誰もが到達できる方法というのは無いのだろうな、と受け取りました。
この分野は科学的な視点からも研究されているようなので、関連する著作があれば、読んでみたいと思います。

2017年8月17日

読書状況 読み終わった [2017年8月17日]
カテゴリ 心理学
タグ

日本での修行に疑問を感じ、単身でフランスで修行することを選択した、若手料理人。
行った先のフランスで、6店舗での仕事を経験することになります。
その修行の様子と、修行を通じて感じたこと。
帰国後、日本でフランス料理店を開き、自らが料理人として、さらに後輩たちに教えながら、お店を運営・経営する立場となって考えていること。
フランス料理の料理人、経営者として長年、研鑽を積み実践してきた経験を、自ら綴った一冊です。
料理人としての成功を望む、多くの志願者(ライバル)。
その中で認められるには、決して「良い人」ではいられない、と繰り返し書かれているのが、印象に残りました。
自分が何をすべきかを考え、その考えに周囲が合わなければ、意見を言う、その結果、衝突する。
その衝突が無ければ、互いに何を考えているのかわからない。
衝突した上で、お互いに何をすべきかを引き出す。
しかし、ただ文句を言っていれば良いというわけでもない。
人を引き上げてくれるのは、人。
その判断基準になるのは、その人が普段、何をしているのかということ。
「事なかれ主義」の日本ではなく、フランスで修行を積んだ著者ならではの、経験に裏付けられた言葉の数々。
背筋をピンと、伸ばしてもらえた一冊でした。

2017年8月7日

読書状況 読み終わった [2017年8月7日]

仕事や旅行で海外に行くと、その国の人々の考えや行動基準が日本人とずいぶん違うことに、驚くことがあります。
そのたびに、自分の常識というものに縛られてはいけないなあと、目を開かせてもらえるような感覚があります。
この本は、フランス・パリで20年間暮らし、仕事をしてきたライター・エッセイストによる一冊。
気持ちの持ち方、お金、恋愛、食事といったカテゴリーに分けて、フランス人と日本人の考え方の違い、行動の違いを、ユーモアを交えて紹介しています。
フランス人に対してなんとなく抱いていたイメージと重なる部分、違う部分があって、興味深く読むことができました。
題名の「お金をかけずに」という部分に強く期待すると、肩透かしされたように感じるかもしれません。
「フランス人と日本人って、こういう部分で違いますよね、日本人もこんな風に考えて暮らしていけば、精神的に豊かになれるのではないでしょうか」という前提で読むと、参考になる部分が多くある一冊だと思います。

2017年8月3日

読書状況 読み終わった [2017年8月3日]
カテゴリ 随筆

山本兼一の長編歴史小説。
舞台は戦国後期の九州北部。
大友氏の武将の娘、立花(戸次)誾千代が、主人公です。
城主の一人娘として生まれた、誾千代姫。
高齢になってからの子供ということもあり、父の道雪は幼い誾千代姫に、城督を譲ってしまいます。
その後も実質的な城の権力者として土地と城を守る父の元で、「城の主」として育った誾千代姫。
しかし年頃となった姫は、婿を迎えることになって・・・というはじまり。
城主のつもりでいたのに、その妻としての役割を求められるようになった、誾千代姫。
そのことに苦悩しながらも自分の役割を理解しようと努め、夫である宗茂と力を合わせて、家を守っていく姿が描かれています。
有力武将同士による激しい争い。
豊臣家による統治と、朝鮮出兵。
九州の武将が西軍と東軍に分かれて戦った、関ヶ原の戦い。
誾千代姫の生涯の中で起こった、これらの出来事を追っていくことで、九州の武将がいかに、激しい境遇の変化に揺さぶられていたかを、理解することが出来ました。
残念ながら亡くなってしまった作家さんですが、読み応えのある作品を残してくれていますね。
まだ読んでいない作品が残っているので、文庫化を楽しみにしていたいと思います。

2017年7月24日

読書状況 読み終わった [2017年7月24日]
カテゴリ 歴史小説

食事や運動とならんで、健康の重要な要素である、睡眠。
自分自身の睡眠の質は高くないのではないか?と感じることもあり、関連する書籍が話題になると読むようにしています。
この本は、医師として忙しい日々を過ごしながらビジネススクールに通い、現在は医師と経営者の”二足の草鞋”で活躍している著者による一冊。
従来の睡眠関連本に書かれている「理想の睡眠」実現方法は、忙しいビジネスマンにとっては実施困難な内容が多いとし、ビジネスマンが取り入れるべき、睡眠向上に向けた生活習慣を説いています。
取り入れるべき生活習慣として挙げられている内容については、これまで読んできた関連本と共通する部分が多いなと感じました。
逆にいうとそれだけ、守るべき大事なこと、なのですね。
そして本書に書かれている以下の項目については、自分の新たな気づきとして、今後取り組んでいきたいと思います。
・就寝時間(時刻)を「1日のスタート」として認識すること
・日々の睡眠を記録しそれを分析することで、自らの睡眠と生活習慣を見直すこと
自分が興味を持っているせいかもしれませんが、睡眠に関する本は最近、多く出版されているようですね。
今後もこの分野については継続して、書籍をチェックしていきたいと思います。

2017年7月20日

読書状況 読み終わった [2017年7月20日]
カテゴリ 健康

江戸時代を舞台に、妖(あやかし)たちが活躍するファンタジー小説、『しゃばけ』シリーズ。
数々登場する妖の中で、ひとつのカテゴリーになっているのが、付喪神(つくもがみ)。
器物が大切に扱われ、百年が経つとその身が妖となり、話をするようになる。
そんな付喪神を主人公にして書かれたのが前作、『つくもがみ貸します』。
その続編の文庫版が6年ぶりに出版されていたと知って、読んでみることにしました。
舞台は今回も、江戸深川にある古道具屋兼損料屋、出雲屋。
前作では、わけあって姉と弟という間柄だった、ふたりの主人公。
そのご夫婦となり、今では11歳になる男の子の親となっています。
今回の作品では、その子供と幼馴染の3人が、中心となった物語。
出雲屋にあらたに、双六(すごろく)の付喪神が来たところから、話が始まります。
付喪神と、双六の勝負をすることになった子供たち。
その勝負を発端に起こる騒動と、それに対峙する子供たちと付喪神の姿が、5つの連作短編集の形で収められています。
物語の軸になっているのは、新たに登場した”大金持ちの札差”の、跡取り騒動。
その騒動を通じて、この時代の親と子の関係、家族の絆といったことを、読者が理解できるような内容になっています。
子供が主人公ということで、前作とは雰囲気もずいぶんと変わり、やわらかいタッチで描かれています。
前作からいっきに10年以上が経過しているというのも、妖が主人公、という設定ならではですね。
第3弾はまた期間をあけて発表されるのか、どのような舞台設定になるのか。
その発表を、気長に待ちたいと思います。

2017年7月18日

読書状況 読み終わった [2017年7月18日]
カテゴリ 歴史小説

趣味で美術鑑賞をするようになったのですが、当初は正直、美術品を見ても「理解出来ない」と思うことが数多くありました。
今はあまり深く考えずに、「とにかく(数多く)見ること」と言い聞かせて、自分なりの観点で美術鑑賞をしています。
そんなスタンスで良いのか、心に引っかかりを持っていたのですが、”名画と観察力”というキーワードが題名になっている本があると知り、読んでみることにしました。
著者は、大学時代は美術史を専攻し、キャリアのスタートは弁護士だったという、アメリカ人女性。
転職を契機に、「アートの分析を応用することで、医師の診断力を向上することが出来る」ということに気づきます。
そのセミナー「知覚の技法」は口コミで広まり、警察やFBIで、その効果が確認されているとのこと。
本書は、実際の絵画を題材にして、読者がその技法を体験出来るような内容になっています。
まず第一部で、漠然と見ていることと観察することの違いを説明しています。
第二部ではそこから得られた情報をどのように分析するか、第三部ではその結果をどのように相手に伝えるかということに展開していき、第四部でそれらを実際にどのように使うかという形でまとめています。
題名の名画読解という言葉に着目した読者には、意外な展開に感じるかもしれません。
セミナー名「知覚の技能」という題名が、しっくりくる内容だと感じました。
特に印象に残ったのは、第一部の「観察」について。
毎日、目をあけて何かを見ているはずの自分が、いかに「観察」というレベルで目と脳を使っていないか、自覚させられました。
自分がどのような情報を得ているのか、その(限られた)情報の中でどう判断し行動するのか。
取得したと思っている情報は事実なのか、自分のこれまでの経験等によってバイアスがかかっていないか、得られた情報と自分の感情・思いとを区別して伝えているか。
情報を取得し分析をする、それを相手に伝える。
そういった”当たり前”に行なっていること、出来ていると思っていることが、実際には出来ていなかった。
そのことに気づかせてもらえました。
あわせて、名画を見る楽しみも増やしてもらえたという、自分にとっては一石二鳥の内容でした。
絵画に興味のある人はもちろん、とっさのハプニングに上手く対応できなかった経験のある人には、読んで損はない一冊だと思います。

2017年7月12日

読書状況 読み終わった [2017年7月12日]
カテゴリ 芸術

「江戸を舞台にしたファンタジー小説」という新しいジャンルを提示してくれた、畠中恵。
その『しゃばけ』シリーズ、第13弾の文庫版です。
年一作品のペースで発表、文庫化されているので、ここ何年かは、このシリーズを読むことが自分自身の年中行事のようになっています。
江戸の通町にある廻船問屋兼薬種問屋の大店、長崎屋。
その一人息子である「若だんな」が、今回も主人公です。
病弱ですぐに寝込んでしまう。
そんな体質なので、両親も「無理をしないように」と甘やかし、二人の男を世話係の”兄や”として、面倒を見させている。
しかし実は、若だんなの祖母はその世界では広く知られた、妖(あやかし)界の大物。
兄やたちも、力の強い妖。
そのせいもあってか、さまざまな妖たちが若だんなのまわりに集まっている・・・という設定。
そんな若だんなの近辺で起こる騒動と、その騒動に若だんなたちがどのように対処していくかが、4つの連作短編の形で、描かれています。
全体を通じてのテーマは、「変化」。
4作品それぞれの題名には、明日、来年など、時に関する言葉がつけられています。
両親や兄やたちに守られて、妖たちと仲良く暮らしたい。
そのような日々を願う若だんなですが、幼なじみの縁談話、さらには自分自身への縁談申込殺到と、「変わらなければいけない」状況が次々とやってきます。
それらに悩み、対処していく若だんなの姿を読むにつれて、読者も「変わらなければならないのだ」と考えるような内容になっています。
パターンを守りながらも、変化をつける。
このシリーズが長く、そして多くの読者に応援されている理由のひとつになっているのかなと、感じました。
今回の内容を受けてどのように今後、展開していくのか。
次の作品の文庫化を、楽しみに待ちたいと思います。

2017年7月10日

読書状況 読み終わった [2017年7月10日]
カテゴリ 歴史小説

『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』など、絵画や画家を題材にした小説が印象的な、原田マハ。
その作品の中に、音楽を題材にしたものがあると知って、電子書籍版を探して読んでみることにしました。
主人公は女子高校生。
父親は国際的に有名な指揮者で、母親もチェロ演奏者という、音楽家の家庭に育った主人公。
しかし両親が離婚してしまい、今は父親と二人で暮らし、家政婦がローテーションを組んで家事をしてくれている、という生活を送っています。
そんな彼女がある日、帰宅すると、自宅には見知らぬ女性が。
不審に思う彼女に向かってその女性が口にしたのは、今日から私があなたの母親である、ということ・・・。
子供の頃、母親に厳しくチェロを教え込まれ、でもそれが重荷となりやめてしまった主人公。
そんな主人公が、新たな”継母”の登場や旧友たちの励ましを通じて、音楽の素晴らしさに目覚めていく、というストーリーになっています。
突然現れた継母、そして難病など、漫画的とも言える設定が重なるので、興ざめを感じる読者もいるかもしれません。
しかし、楽器を弾くこと、そしてその喜びを分かち合うことの楽しさを、味わわせてもらえる作品だと思います。
現実の演奏家たちの名前が数多く引用されているので、「どんな演奏なのだろう」と興味が湧き、動画サイトでチェックしてみました。
精力的に作品を発表している作家さんですね。
他にも読んでいない作品がないか調べて、とり組んでみることにします。

2017年7月5日

読書状況 読み終わった [2017年7月5日]
カテゴリ 小説

京都を舞台に、独特の世界を描いた小説を発表している、森見登美彦。
先に読んだ『聖なる怠け者の冒険』の舞台になっていたのが、京都祇園祭宵山。
同じく、その宵山を題材にした作品があると知って、読んでみることにしました。
6つの短編からなる、連絡短編集です。
作品に共通しているのが、宵山当日(もしくはその日に向けた日々)を、題材にしていること。
しかしその内容は、異界に取り込まれてしまいそうな怖い話から、宵山を舞台に繰り広げる壮大ないたずらまで、色合いが異なる作品が並べられています。
それぞれの短編の中で登場人物がリンクしているので、「同じ世界を描いているのだな」と気付かされます。
「あとがき」にあるように、お祭り、特に祇園祭宵山の持つ、”怖ろしさ”と”楽しさ”双方の感覚を、表現した作品なのだなあと、受け取りました。
『聖なる』とは違い、格式の高い?文体が用いられています。
京都という限られた題材を扱いながらも、ひきだしの多い作家さんなのだなあと、感じました。
今回も森見ワールドに浸れたので、今後もまだ読んでいない作品を探して、取り組んでいきたいと思います。

2017年6月26日

読書状況 読み終わった [2017年6月26日]
カテゴリ 小説

『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』など、絵画や画家を題材にした小説を発表している、原田マハ。
僕もこれらの作品を読んで、美術に対する興味を深めさせてもらいました。
その原田マハが美術鑑賞についての新書を発表したと知って、電子書籍版で読んでみることにしました。
題名の通り、「印象派」の象徴的な存在で、著者自身も大きく影響を受けたという、クロード・モネが主題になっています。
モネとはどのような画家だったのか、印象派と言われる絵画はどのような特徴があるのか。
印象派の絵画がどのような点で、それまでの絵画と違っていたのか、本書を読んで頭を整理することができました
また日本や日本人との関係についても、ページを割いて書かれています。
これまで日本各地の美術館を見て回っていて、「なんでこんなにモネの絵があるのだろう」と不思議に思っていたのですが、本書を読んでようやく、納得することが出来ました。
専門的な知識を持った人には、既知の内容が多いのかもしれませんが、僕のような美術鑑賞初心者にとっては、気づかせてもらえる部分の多い一冊でした。
個人的には、このような形でアンリ・ルソーに関する本も発表してもらえれば、と願っています。

2017年6月22日

読書状況 読み終わった [2017年6月22日]
カテゴリ 芸術

画家アンリ・ルソーを題材にした小説『楽園のカンヴァス』が面白かった、原田マハ。
自らの経験を活かした美術関連の小説、そしてそれ以外の分野の小説も、これまで楽しく読ませてもらいました。
その原田マハの、沖縄そして美術を題材にした小説が文庫化されていると知って、電子書籍版で読んでみることにしました。
小説の舞台は1948年、戦闘で壊滅的なダメージを受けた後の沖縄です。
戦勝国となり、沖縄を統治することになったアメリカ軍。
その軍医として沖縄に赴任することになった、医科大学を卒業して間もない若い精神科医が、この小説の主人公です。
休日に、本国から送ってもらった車で、沖縄の土地を走る主人公。
その途中で「NISHIMUI ART VILLAGE」という看板を見かけます。
興味を持った主人公は、その村に入り、地元の人と交流します。
するとそこは、かつて東京の芸術大学で学んだ芸術家たちが集まり、米国人相手に絵画を売ろうとしている場所だということを知ります。
その作品を見た主人公は・・・という始まり。
戦闘の結果、この地を占領することになったアメリカ人。
占領される側になった、沖縄の人々。
そして、国籍を問わず人間として共通的な価値感とも言える、芸術。
その芸術を通じて、心が通じ合う部分。
いくら交流しても、通じ合えない部分。
米国軍医と沖縄芸術家とのやりとりを通じて、戦うということはどういうことなのか、そして芸術とはどのようなものなのか、考えさせてもらえた作品でした。
読後に調べて見ましたが、ニシムイ芸術村というのは、実際に存在していたのですね。
終戦すればそれで終わりではない、戦争の恐ろしさ。
そして、芸術の持つ力。
今回も、読み応えのある、作品でした。

2017年6月19日

読書状況 読み終わった [2017年6月19日]
カテゴリ 小説

『夜は短し歩けよ乙女』など、京都を舞台にした独特な世界観の小説を発表している、森見登美彦。
まだ読んでいない作品が電子書籍化されていたので、読んでみることにしました。
舞台は京都。
マントを羽織り狸のお面をかぶった「怪人」が、京都の街に出没。
風貌とは裏腹に、街の人々に善行をして回っていることで話題になっている・・・という始まり。
なぜかその「二代目」に指名されてしまった、若手のサラリーマンが主人公。
週末はだらだらと過ごしたいという筋金入りの怠け者である主人公が、怪人という非日常的、冒険的な存在に巻き込まれてしまう姿が、全編を通じてコミカルに描かれています。
この怪人は誰なのか?という謎解き、そしてその存在を付け狙う人々との攻防が、物語の主軸になっています。
京都という街、特に祭りという特別な日の雰囲気を舞台装置に、この著者らしい、現実とファンタジーがおりまざった、不思議な世界を提示してくれています。
全体的に楽しく読める作品なのですが、休むということと、怠けるということの違い、何のために頑張るのか、など、考えさせてももらえました。
今回も不思議な読後感を味わせてもらえたので、他の作品も探して、読んでみたいと思います。

2017年6月13日

読書状況 読み終わった [2017年6月13日]
カテゴリ 小説

自分は首都圏で生まれ育ち、今も住居・職場ともに、首都圏で生活しています。
仕事やプライベートで地方に行くことはそれなりの頻度であり、宿泊することも多いのですが、地方に住むというのはどういうことなのか、本質的な部分で理解できていないのだろうなと感じています。
なので、首都圏と地方を対比させたような書籍を、意識して読むようにしています。
この本は、不動産の分野で長年活躍してきた著者による一冊。
乱暴とは思いますが、自分なりにこの本のポイントをまとめると、以下のようになるかと思います。
(1)交通網の発達に伴い、これまでは地方から東京への「上り」一辺倒で、人が移動してきた
(2)しかしその東京も、高齢化が進み、これまでのように直線的な発展は見込めない
(3)これからは、東京から地方への「下り」の人口移動に、着目すべきである
(4)そのポイントの一つは、海外から日本にやってくる「異人」の取り込みである
(5)取り込みにあたっては、既存の交通網を如何に活用するかが重要であり、ハード、ソフト両面での工夫が必要である
上記の(1)については、以前読んだ別の本でも書かれており、客観的な事実なのだなと、受け取りました。
しかしその本では「なので、より東京に集中させて国際的な競争力を高めるべきだ」と主張していたのに対し、本書では真逆の主張をしていたので、興味深く読ませてもらいました。
(4)については一過性という危険は孕んでいると思いますが、すでに地方に行った際に実感したことがあったので、当面は希望のもてる話だなと感じました。
(5)については、ハード的にかなりの投資が必要なこと、ソフト面での工夫がイメージできなかったこと、といったあたりは気になりました。
全体としては、地方都市は今の状況に絶望することなく、明るい未来を描いて努力をすべきだと、後押ししてくれている一冊だと思います。
日本全体の活性化については、さまざまな意見があるということがわかりました。
今後もこの分野の本を探して、読むようにしていきたいと思います。

2017年6月8日

読書状況 読み終わった [2017年6月8日]
カテゴリ 自己啓発

『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』など、西日本を舞台に、その土地の歴史にまつわる壮大で不思議な世界を提示してくれる小説家、万城目学。
僕もその’’万城目ワールド”に魅せられている、読者のひとりです。
書店巡りをしていたら、文庫版上下巻でこの小説が平積みされていたので、電子版を探して、読んでみることにしました。
物語のはじまりは伊賀。
そして、主人公は忍者の風太郎。
冒頭に描かれる騒動によって、伊賀を離れなければならなくなった風太郎。
京の郊外でひっそりと身を潜めていた彼ですが、そこに忍者仲間、そして「ひょうたん」がやってきます。
それをきっかけに、京の街に出るようになった彼ですが、やがて望まぬ形で、諍いや、さらに大きな争いに巻き込まれる羽目になって・・・という展開。
時代的には、関ヶ原の戦いが終わった後から、大坂夏の陣で豊臣家が滅亡するまでの期間が舞台になっています。
戦国時代という特殊な時代の中で必要とされ、進化してきた、忍者という存在。
その末期に生を受け、忍者としての教育を受けるも、「落ちこぼれ」になってしまった風太郎。
そんな主人公が、伊賀の忍者という境遇、そして時代の移り変わりというものに翻弄される姿が、数々のアクションシーンを交えて描かれています。
伏線も多く張り巡らされていて、そのストーリーを追っていくだけでも楽しめる小説かと思います。
そして読み進めていくうちに、権力が移るというのはどういうことなのか、今まで必要とされていた存在が不要とされるとはどのようなことなのか、読者に考えさせるような内容にもなっています。
著者にしては全体的に暗いトーンに感じますが、細かい描写にはユーモアも交えられています。
またキーアイテムとして「ひょうたん」が取り上げられていることにより、万城目学らしい不思議ワールドに、読者を誘い込むような形になっています。
今回もその世界観に引き込まれました。
作品が発表されるたびに、違う側面を見せてくれる作家さんですね。
次作の発表を楽しみに待ちたいと思います。

2017年5月30日

読書状況 読み終わった [2017年5月30日]
カテゴリ 歴史小説

(感想は下巻にまとめて書きます)

2017年5月22日

読書状況 読み終わった [2017年5月22日]
カテゴリ 歴史小説

日本を代表する小説家のひとり、村上春樹。
長編小説については、数年に一度のペースで、作品を発表しています。
その間も、短編小説集やエッセイ集が発売されるので、それらの作品も読むようにしています。
この本は、書店で見かけた、エッセイ集の文庫版。
小説を書くことを”生業にする”とは、どういうことなのか。
35年に渡る自らの経験と、そこから得られた知見が書かれています。
「あとがき」によると、前半6章は雑誌に連載された文章、後半5章は書き下ろし、最後の1章は講演原稿、という経緯を経て、まとめられているようです。
村上春樹はどのようなスタイルで、小説づくりに取り組んでいるか。
そして村上春樹は、日本の文学界そして文学賞についてどのように考えているのか。
彼の作品のファンにとって、興味をそそられる内容が盛り込まれています。
小説を書くプロセスについて書かれた部分を読んで、「小説とは何なのだろう」と、これまでモヤモヤ考えてきたことを整理してもらえたように感じました。
ファンでなくても、小説を読む人、文章を書く人、芸術活動に取り組んでいる人には、参考になる内容ではないかと思います。
村上春樹らしい文章を読んでいっとき、渇望症状が緩和されたのですが、「次の長編小説を読みたい」という思いもより、強くなりました。
作品の発表を、楽しみに待ちたいと思います。

2017年5月16日

読書状況 読み終わった [2017年5月16日]
カテゴリ 随筆

残念ながら、2014年に57歳で亡くなってしまった歴史小説家、山本兼一。
生前に発表された作品を探しては読む、ということを繰り返しています。
書店巡りをしていたところ、この作品が文庫化されていたので、電子書籍版で読むことにしました。
本作品の舞台は、関ヶ原。
この「天下分け目の戦い」を題材にした歴史小説は、これまでも何冊か読んだことがありました。
日本の歴史に大きな影響を与えたということとともに、この合戦に至るまでの、有力者たちの有形無形の権力争いが、多くの日本人の興味を引き出しているのだと思います。
この小説が特徴的なのは、関ヶ原の合戦が起こった、その一日のみを描写しているということ。
徳川家康、石田三成といった主役級から、伝令や”刺客”として動いた者まで。
関ヶ原という現場にいた多くの人物の視点から、この日の出来事を時系列で描写しています。
事前にどのような準備がなされ、それが当日、どのような形で実行に移されたのか。
武将たちの心理面も含め、読者が追体験できるような内容になっています。
大きなテーマになっているのが、「裏切り」。
そして、「何のために戦うのか」ということ。
武将たちがどのような考えを抱き、行動に移したか。
そしてその行動は、後になってどのような結果、評価を得ることになったのか。
「戦」としての決着はついても、その結果だけで判断されるのではないということに、思い至らせてもらいました。
魅力的な作品を残している作家さんですね。
まだ未読の作品もあるようなので、今後も探して、読むことにします。

2017年5月11日

読書状況 読み終わった [2017年5月11日]
カテゴリ 歴史小説

『しゃばけ』シリーズで、”江戸を舞台にファンタジー”という新しいジャンルを提示してくれた、畠中恵。
代表作の『しゃばけ』シリーズを含め、江戸時代や明治時代を舞台にした作品を、数多く発表しています。
その畠中恵が珍しく?現代を舞台にしているのが、『佐倉聖の事件簿』シリーズ。
とある事情で、元大物政治家に関連する事務所でアルバイトをしている大学生、佐倉聖が主人公。
そのシリーズ第2作が文庫化されていたので、読んでみることにしました。
大学3年生になった聖は、事務所でのアルバイトをやりながらも、熱心に「就活」に取り組んでいます。
これまた事情があり、中学生の弟を養わなくてはいけない彼は、安定した会社への就職という、いささか漠然とした希望を抱いて面接などに励んでいます。
しかし有名な元大物政治家とのつながりがある彼には、コネ入社のお誘い等、さまざまな横やりが入ってきます。
今回の作品は、そんな主人公・聖の就活にかかわる五つのエピソード+アルファが、連作短編集の形でまとめられています。
つぎつぎと起こるもめごとや事件を、聖とその周りにいる政界関係者たちがどのように解決していくのか。
個性豊かな登場人物たちによって、コミカルに展開していきます。
住民の声を聞く。
そして複数の声を調整し、不公平感を与えないように実現していく、政治家という職業。
その怖さとやり甲斐を知ってしまった、主人公。
政治の世界に本格的に入り込むのか、それとも”まっとうな”道に進むのか。
謎解き小説が好きな人、政治の世界を垣間見たいという人には、興味深く一冊ではないかと思います。
今回も楽しく、読ませていただきました。

カテゴリ 小説
タグ

ノーベル文学賞候補として毎年話題になり、「国民的作家」として取り上げられることが多い、村上春樹。
自分もその作品の発表を心待ちにしている読者の一人です。
文庫版が続けて発表されたようで、その中からまず、この短編小説を読むことにしました。
著者自身による「まえがき」によると、9年ぶりの短編集とのこと。
6つの短編小説が、納められています。
それぞれの話は独立していて、相互の物語はリンクしてはいません。
でも6つの作品に共通しているのが、主人公が全員、男性であること。
そして時期や相手、また理由はまちまちですが、身近にいた女性を失った経験があるということ。
現在から過去を振り返るような形で、主人公たちが自らの心と対峙していく姿が描かれています。
とはいえ、どれもが似た作品というわけではありません。
作品によっては、どのようなシチュエーションで展開している話なのかわからなかったり、「この後、どうなったんだろう」と疑問を持たせたまま終わるものなど、個性的な作品群となっています。
不思議な感覚を提供しながらも、それぞれの作品にテーマが散りばめられている。
そのテーマについて、読者が考えながら読み進める。
そんな、村上春樹ワールドが展開されています。
今回もその世界にどっぷりはまらせていただきました。
短編も読みたいけれど、新作長編も読みたい。
次回作の発表を、楽しみに待ちたいと思います。

2017年4月18日

読書状況 読み終わった [2017年4月18日]
カテゴリ 小説

魚がとれなくなった、日本人は魚を食べなくなった、漁業をやめる人が多い・・・。
日本の水産資源や漁業については、このような寂しい話題を、耳にする機会が多いなと感じています。
この本はそんな日本の漁業について、どのようなことが起こっているか、なぜ起こっているか、ではどうすれば良いかということを論じた一冊。
前半では各種データを提示して、日本の漁業の危機的な状況を示しています。
そしてその要因として、日本の排他的水域内の漁業が「とりすぎ」であること、その背景として国レベルのルールづくりが遅れていることを、主張しています。
全体を通じて感じたのは、「このままではいけない」ということ。
世界全体の水産資源の消費量が増えたこと、その影響を受けて中国等近隣国の漁船により、水産資源が乱獲されていること。
日本の中ではこのような認識が広まっていますが、輸出入のデータ等を提示して、著者はそのような考えを否定しています。
原因は、日本自身にある。
対策として、他国で成功した事例が挙げられています。
日本にはあてはまらないといった反論があるようですが、著者が提示するデータを見る限りでは、効果的な対策を講じない限り、現在の状況は変わらない、さらに悪化してしまう状況にあるのだと理解しました。
自然を対象にしているので、影響する要因は多くあり、その解釈によりさまざまな意見はあるかと思います。
今後も関連する書籍を複数読んで、この分野についての知識、考えを深めていきたいと思います。

2017年4月12日

読書状況 読み終わった [2017年4月12日]
カテゴリ 国際人

1994年、日本人を含む9人の漁師が、37日間の漂流を経た後にフィリピン沖で保護された・・・。
この本は、生存者の中で唯一の日本人だった船長を追った、ノンフィクション作品です。
約20年後に本人に取材しようとした著者は、その妻に衝撃的な話を聞きます。
それは、船長は10年前に漁に出たまま、行方不明になっている、ということ。
その事実に驚いた著者は、現地に赴き、彼の関係者を訪ね歩いて、1回目の漂流の様子と、2回目の漂流に至った経緯を調べます。
その過程で見えてきたのが、船長が生まれ育った沖縄県宮古島群島伊良部島佐良浜という地域の、特殊な郷土史とそこに暮らす人々について。
海に出れば食料を調達できる、逆に言うと漁師しか生活する術が無い、という環境。
その中でも特に、外部思考の強い佐良浜の漁師たち。
遠くグアムやパラオまで漁をしに行き、大きな富を得る。
でもしばらくすると、その漁が成り立たなくなる。
そんな、繁栄と衰退を繰り返してきた人たちだといことがわかってきます。
主人公である船長の足跡を追うことによって、海洋民としての佐良浜の人たちの気質や、その行動原理への理解が深まっていく、という内容になっています。
継続的に海に行く機会があり、海に関する情報には日常触れているつもりでいましたが、本書の内容にはただただ、驚いてしまいました。
同じ日本という国の中に、このような地域、そしてそこに住む人の人生がある。
「事実は小説よりも奇なり」・・・あらためて感じさせてもらえた、ノンフィクション作品でした。

2017年4月6日

読書状況 読み終わった [2017年4月6日]

自分自身が写真を撮ることもあり、アートに対する興味が年々、高まっています・
美術館巡りをして実際の作品を見ると、しばらく前を動けなくなるような、大きな感動を受けることも多々あります。
しかし逆に、「なぜこの作品が評価されるのだろう?」と、疑問に感じることもしばしばあります。
この本は、2005年に逮捕された、贋作作家による自叙伝。
ピカソ、シャガール、ダリ、マティス、ルノワール、フジタ・・・現在も人気があり、権威ある美術館にその作品が所蔵されている、有名画家たち。
著者は、これらの画家たちの贋作を長年に渡って作成し、売ってきたと言います。
しかもその作品というのは、既存の作品の複製ではなく、その作家”風”の「新作」。
逮捕されたことにより、多くは廃棄されたとのことですが、現在でも彼の作品はオークション等で取引されていると言います。
少年時代には路上生活も経験し、名の通った美術学校に通ったこともない著者が、どのような経緯で贋作作りをするようになったのか。
少年時代から執筆時までの半生を振り返り、「俺」という一人称で描いています。
贋作作りの具体的な手段についてはここでは触れませんが、アートの才能に恵まれた著者が、数少ないチャンスを活かし高度な芸術を身につけるに至った経緯が、本書を通じて理解できました。
残念なのは(そして本人にとっての長年の悩みは)その努力と才能を自らの作品という形で発表し、評価を受けられなかったこと。
芸術作品がどのような経緯を経て作られ、売買されているか。
リトグラフや修復などの話を読むと、「どこまでが本物で、どこからが模倣・贋作なのか」わからないなあと、感じました。
破天荒な人生の描写部分だけでも驚きが多く、アートに興味が無い人にも、読み物として楽しめる一冊だと思います。

2017年3月29日

読書状況 読み終わった [2017年3月29日]
カテゴリ 芸術

『天地明察』『光圀伝』といった話題作を発表し、人気作家となった冲方丁。
自分もこの作家さんの作品をチェックしている、読者のひとりです。
書店巡りをしていたら、この長編作品が文庫化され平積みされていたので、電子書籍版を探して、読んでみることにしました。
本作の主人公は、『枕草子』を書き残した清少納言。
一条帝の妃、定子の女房として仕えた日々を、清少納言が回想する一人称で、書き綴っています。
恥ずかしながら、『枕草子』は現代語訳を読んだことがなく、平安時代に清少納言によって書かれたこと、当時の宮廷での生活について現代で言う随筆風に書かれた作品であること、というレベルの認識しか持ち合わせていませんでした。
なのでどこまでが『枕草子』に書かれていることで、どこからが他の資料を踏まえた本作のオリジナルの部分なのかは、わからないまま読み進めました。
初歩的な部分で驚いたのが、清少納言が活躍していた時代というのが、藤原道長という、この時代に栄華を極めた人物の隆盛期と、重なっているのだということ。
全編を通じて、道長を中心とした権力抗争が描かれているので、この人物がなぜ、どのように、朝廷で重要な地位を得ることが出来たかということを、具体的なイメージを持って理解することが出来ました。
そしてこの小説の題名にもなっている、「はな」。
漢字では「花」、とも「華」とも表されていますが、この概念が小説のテーマとして繰り返し提示されているので、平安王朝という時代の空気や、政治を動かしていた価値観といったものを、感じ取ることができました。
従来の現代語訳を読み込んできた人にとっては、注文をつけたくなる部分はあるのかもしれません。
でも、予備知識のない自分にとっては、この時代の雰囲気を味わう入口として、楽しめる作品でした。

2017年3月27日

読書状況 読み終わった [2017年3月27日]
カテゴリ 歴史小説

とある事情で武士をやめ、商人(損料屋)として生計を立てることになった若侍。
損料屋として商いを展開する一方、「裏の顔」として、武士だったころの上司からの指示、相談に応じて揉め事を解決する。
そんな主人公、喜八郎が活躍する『損料屋喜八郎』シリーズの、第3作です。
今回は、寛政四年(1792年)6月のシーンから、始まります。
寛政元年に発布された、棄捐令。
俸禄米を担保に武士が札差屋に借りていた借金を帳消しにしてしまった、という大掛かりで一方的な、金融政策。
逆に、そんな仕打ちを受けた札差屋たちは武士に金を貸さなくなり、江戸の町の景気はめっきり冷え込んでしまいます。
そんな状態が3年あまり続いた、江戸の町。
景気回復を図ろうと、幕府は新たな金融政策を、計画します。
そして大きな動きがあると起こるのが、この機に乗じて儲けようと企む悪人による、「騙り」。
大規模な騙りと、それを阻止しようとする喜八郎の活躍が、今回の作品の主軸になっています。
シリーズも3作目となり、主人公や主要人物の”掛け合い”も、本作の読みどころになっています。
江戸の市井の人々、そして金融政策という題材でこのような小説が書けるのかと、今回も感心しながら読み進めました。
このシリーズとして発表されているのは、この第3作まで。
でも、まだこの先につながるような終わり方をしているので、シリーズ再開を、楽しみに待ちたいと思います。

2017年3月22日

読書状況 読み終わった [2017年3月22日]
カテゴリ 歴史小説
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