2012年芥川賞受賞作「冥土めぐり」と、「99の接吻」がおさめられている。鹿島田真希は、ふつうの人が思うすこし明確な言葉にしづらいものをすくいとって、変わった風に表現しているかんじ。「99の接吻」は書きたいことにまだまだ技術が追いついてない印象で、ほんとうにそのままそれらしい言葉に移し替えただけ、みたいな。「冥土めぐり」のほうが優れた小説だとおもいます。まあ「冥土めぐり」も、これがソリューションなのかなあ、救済ってこんな風に訪れるものなのかなあ、と疑問でいっぱいだったけれど。案外現実のソリューションなんてこんなものなのかもしれない。わからない。
ところで、この膜がはったような現実との微妙な距離感、自分というものの希薄さ、それがさいきんの文学が表現しようとしてるものなんでしょうか。書きたいものはわかる。でも正確に汲み取れていると感じた小説はまだありません。
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- 感想投稿日 : 2013年9月2日
- 読了日 : 2013年9月2日
- 本棚登録日 : 2013年9月1日
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