ウォルト・ディズニーの約束 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

監督 : ジョン・リー・ハンコック 
出演 : トム・ハンクス  エマ・トンプソン  コリン・ファレル  ポール・ジアマッティ  ジェイソン・シュワルツマン 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
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感想 : 79
4

ウォルト・ディズニーがメリー・ポピンズの原作にほれ込み、原作者のトラヴァース夫人をなんとか口説き落とし映画化に辿りつくまでを描いた作品。
邦題からして、ウォルト・ディズニーの個人的なエピソードのより集めかなんかか?と最初は思った。けれど、一通り映画を見てさらに原題を見て納得。なんとしっかりとした人間ドラマだろう。

ここでウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)はクレジットにこそ名前がトップに来ているけれど、主人公というよりは主人公を促すキーパースンで、むしろ役割としては完全に脇役に徹している。本当の主人公は、トラヴァース夫人(エマ・トンプソン)なのだ。

郊外の豪華な邸宅を父の失業により出ざるを得なかった場面からはじまるトラヴァースの回想シーン。田舎の草原に立つ小屋に越してから、父はもう一旗揚げようともがくもののうまくいかず、酒におぼれ胃潰瘍も併発。しかも、その看護に疲れ切った母は自殺を図ったりとその少女時代は困難続きだった。

冒頭のディズニーの招待で泊まることになったホテルのウェルカム・フルーツに梨があり、トラヴァース夫人がそれを即座に外のプールに投げ捨てる場面。その謎は回想の最後に明らかになる。夫人にとって梨とは、かつて父を救いたい一心で買ってきたものであったが買って帰った時に父は既に死んでおり、まさに「父を救えなかったダメな自分」そのものだったのだ。

トラヴァース夫人の頑なさやメリー・ポピンズが生み出された背景には、このような夫人の父を救えなかった罪悪感が大きく影響していた。

公に名乗っている姓と本名の違いから、ディズニーはいち早くそれに気づき、夫人の暮らす英国にまで飛ぶ。夫人の深い痛みに寄り添いながら、呪縛から彼女を解き放とうとする場面には胸を打たれる。

また、要所要所に描かれるディズニー専属の作曲家たちの献身的な?努力、運転手との交流等も偏屈だろうがなんだろうが彼女を変わらず見守っていることを示唆するもので、これもまた映画に欠かせない要素だと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月9日
読了日 : 2017年6月9日
本棚登録日 : 2017年6月9日

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