鬱な映画を作らせたら天下一品のダーレン・アロノフスキー。彼の資質なくしては、この映画はただの「キリスト教紙芝居」になっていたんじゃないでしょうか。
旧約聖書にあるノアの箱舟伝説はものすごくおおざっぱで、突っ込みどころがたっぷりです。たとえば、
A)そもそもすべての動物を一つがい載せられる船をどうやって作ったの? 材料は? マンパワーは?
B)動物は一つがいだけど、人間は? ノアと奥さんが乗ってて、あと、三人の息子がいたわけだが、そこからどうやって人類は増えていくのよ?
などなど。そこのところをアロノフスキーは適当にごまかさずに書いているし、しかも、ノアの箱船に乗れなかった人たちの悲惨な運命を描いていて、そこがいい(だって、ノアの箱船の中にいると、外は阿鼻叫喚地獄なんですもの)。
もちろん、エンディングは誰もが知ってるハッピーエンドなので、そこまでブラックにはできないのですが、それでもこれはキリスト教徒でなくても面白い物語になっていますし、原理主義者でもかなり納得の行く話になってるんじゃないでしょうか(でも、アロノフスキーは進化論は信じているようですが)。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
非ホラー部門
- 感想投稿日 : 2014年7月6日
- 読了日 : 2014年7月6日
- 本棚登録日 : 2014年7月6日
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