失敗すれば即終了! 日本の若者がとるべき生存戦略

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  • 晶文社 (2016年1月22日発売)
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単純な問題提起として「2050年には若者1.2人が老人1人を支える」推計からスタートし、予想される悲惨な未来を避ける解として「若者が安心して子供を作れる環境」を導き、そのためには若年層に「『世帯』年収500万円」とその所得以内でも子供に十分な投資=教育ができる制度設計が必要だ、という至極まっとうな主張。

少子化の原因を「価値観の変化」といったイデオロギーではなく、統計データによる検証と、人間を一個の種として見たみた場合の生存戦略(子供への投資)で説明してあり、自説の押し付けではなく、仮説の提示と検証、推論を淡々と進めていくスタイルは読んでいて心地よい。

「世帯年収500万円」周辺の中流層を壊滅させ、一握りの勝者と圧倒的多数の敗者を作る「格差の拡大」が資本主義の必然だとしても、経済学は熱力学のような「科学」ではなく、人間の行動は変化する。

我々は「民主制」「高等教育」「人権」という過去からの遺産を受け継いでおり、「インターネット」という人と人とをつなぐ手段を手にしている。未来は決して明るくはないが、不可避の破滅しか残されていないほど絶望的ではない。

では何をすればよいのか。

まずは自分の考えを言葉にする。語る。

見知らぬ他者からの嘲笑を恐れて言葉を失い、無責任な評論に同調して何かすっきりしたような気持になる。そんなことはやめて、自分の「考え」を言葉にしてみる。
そこから芸術が、政治が、自分の人生が始まる。


...やっぱり恥ずかしいな。

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感想投稿日 : 2016年2月27日
読了日 : 2016年2月26日
本棚登録日 : 2016年2月20日

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