ソ連軍が侵攻し、国府・八路軍が跳梁する敗戦前夜の満州、敵か味方か、国籍もわからぬ男とともに、ひたすら南を目指す少年久木久三―(中略)―雪と氷に閉ざされた満州から故国=日本をめざす人間の生の条件を描く長編。
(裏表紙より引用)
中期〜後期の作品とは一味違った安部ワールド。
とてもリアルなストーリーで、じわじわと生への狂気が感じられます。
創作物語といえ、「こんなになっても生きていられるんだな・・・」と思えてきます。
痛いシーンもあり、目を背けたくなる(活字を読んでるのだから、この表現は不適切かも・・・)ことも。
読みながら、不安が広がっていったんだけれど、最終的にその不安が杞憂ではなかったことを確信させられます。
途中、精神的にも身体的にもズタボロになっても、なんとなく希望を感じましたが、いざ故郷を目前にしたときほど恐ろしく絶望した瞬間はありません。
ラスト、若干飢餓同盟に似てるような。
そういえばこの作品、女性がほとんど出てきませんでした。
それがリアルさに拍車をかけていたようです。
安部さんの描かれる女性って、どこか幻想的なので。
色々な作品を読んで気づいたんですけど、刷新前の作品は「基本的に」真知さんが表紙絵を描かれてたんですね。
この作品の表紙、不安を煽るような絵ですごく好きです。
アマゾンで注文しよーかなーと思ったけど絶版ぽいですね・・・(´・ω・`)
中古で入手するか・・・と思って検索かけたら高いwwwww
頑張ります。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
安部公房★オススメ
- 感想投稿日 : 2009年6月12日
- 読了日 : 2009年6月12日
- 本棚登録日 : 2009年6月12日
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