シュールです。
作り手側は全くシュールなつもりじゃない気がするのでより得体の知れない感が増長されて、ダークファンタジーでもサスペンスでもホラーでもない。
なんとも一言では形容しがたいジャンルの作品に仕上がっている。
痩せっぽちの白血病の少女の夢は13歳になることと、憧れの魔法少女ユキコになること。
美人妻のバルバラは不安定な精神をどうにか保ちながら裕福な夫に囲われて生きている。
全く関係のない交わるはずもない、マジカルガール2人が、いつのまにかおじさん達を狂わせ、アレヨアレヨと言う間に不条理な未来を生んで行く。
愛を貫くために道理に反したことをしてはいけません。
ちょっとした悪がだんだん大きく膨らんで自分だけじゃなくて大切な誰かに被害が及ぶことがあるからです。
でもこんな教訓伝えたい訳じゃない。
これは一体なんだ?色んな人物の色んなシーンが暗転と共に切り替わって、誰にも共感できず謎が深まり、訳がわからないままダークや世界に引き込まれていく。
謎だらけで辛くなるけど、なぜか目が離せない凄みを感じてしまうこの作品。
オムニバスではないですが、中盤までまったく散り散りのように思えたストーリーがラスト20分くらいで一気にシュッと纏まってパズルのピースがハマるような感覚もなんか好きだった。
トカゲの部屋の秘密、バルバラの奇妙な夫婦関係、バルバラと元教師ダミアンの関係とダミアンの服役の真相など、最後までオブラートに包まれたままで観客に想像を委ねてしまう感じもある意味潔くて、(魔法少女ユキコもエンディングも日本語の歌だけど)とってもスペイン映画らしいです。
後味けっこう悪くて少し気が重くなるので、多分観る時を選ぶけど、なぜか観てよかったと感じた不思議な作品。
- 感想投稿日 : 2017年8月31日
- 読了日 : 2017年8月31日
- 本棚登録日 : 2017年8月31日
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