坂口さんの幼少期の体験や出来事が描かれているのに読んでいると読み手である僕の幼少期の忘れていた記憶がふわりと立上がってくる。永久凍土のマンモスのように取り出せなかった記憶がふわりと現在の自分に追体験のように浮かんでくる。不思議な小説だ、とても。
『グーニーズ』や『ぼくたちの七日間戦争』に胸を躍らせていた幼少期に小学生の頃の秘密基地や山への冒険などの記憶やあの頃の両親や家族の風景が浮かび上がってくる。極めて坂口さんの私的な小説であるのに読み手の僕の私的な体験がオーバーラップする。
長編でもないし読み辛くもないのに読むのに時間がかかったのは私的な想い出が浮かぶのとどこか幻想的な世界へ招待されているように僕は睡魔に誘われた。
時折、幻視者的な視線で書かれた小説を読むと僕はどんなに読み進めようとしても眠りに堕ちてしまう。今作もそうだった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年7月24日
- 読了日 : 2013年7月24日
- 本棚登録日 : 2013年7月20日
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