エスの系譜 沈黙の西洋思想史 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2016年10月12日発売)
4.33
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 3
4

佳作。

著者:互 盛央[たがい・もりお] (1972-) 言語論、思想史。
解説:國分 功一郎[こくぶん・こういちろう] (1974-) 近世哲学(17世紀の)、現代フランス哲学。

【版元の内容紹介】
 「考える」「思う」という事象に主語はあるのか。「私」でも「神」でも「言語」でもないとしたら――近代以降ニーチェがフロイトが、フィヒテがシェリングが、沈黙する<それ=Es>に向けて格闘を始めていた。

 “「なぜか分からないがそうしてしまった」、「まるで自分ではない何かにやらされているようだった」……。こうした話は作家や芸術家の創作についてよく聞かれるが、日常の中にも同様の経験があるのは誰もが知っていることだろう。みずからの行動の原動力だったことは明らかなのに、それが何なのかは明言できないもの。その得体の知れない力を示すために着目されたのが、ドイツ語の代名詞「es(エス)」だった。”
  ――「まえがき」より
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062165495


【目次】
目次 [003-006]
凡例 [007]
はじめに [011-014]

プロローグ――エスを奪い合う者たち 015
邂逅/確執

第一章 エスの問題圏 031
フロイトとニーチェ/ニーチェの因果性批判/ランボーの反抗/「絶対的に近代的」であること/デカルトの問い/非人称の「思われること」へ

第二章 エスの淵源を求めて 061
「神なる自然」とゲーテ/フィヒテの課題/近代の逆説/シェリング来都/フォイエルバッハの示唆/端緒としてのリヒテンベルク/ビスマルクのエス/ハルトマンという桎梏/フロイトとハルトマン/「台無しにされたショーペンハウアー」

第三章 変貌するエス 111
「自然の精神化」と「自然の物質化」/ヘルムホルッからマッハへ/ルナンの二面性/ドレフュス事件とエス/スーリー、そしてエクスナー/ユダヤ人とは誰なのか/遺伝する「エスの経験」/「世界霊」としてのエス/ジェイムズと心霊主義/ユングとの葛藤/獲得形質の遺伝/シュタイナーとゲーテの出会い/シュタイナーとハルトマン/シュタイナーのエス

第四章 エスヘの抵抗 187
カール・クラウス登場/抵抗するローゼンツヴァイク/ブーバーの「君」とエス/「始源語」としてのエス/ウィーン学団のエス/ラッセルによる仲介/ヴィトゲンシュダインのエス/ハイデガーのエス/『モーセという男と一神教』へ/伝承するエス、伝承されるエス/エスの稲妻

エピローグ――「エスの系譜」のゆくえ 249
メルロ=ポンティと「沈黙」/ルソーからレヴィ=ストロースヘ/ドゥルーズのほうへ/傷をもつ者

あとがき(二〇一〇年七月 互盛央) [275-278]
書誌 [279-309]
学術文庫版あとがき(二〇一六年八月 互盛央) [311-313]
解説 来るべき本文── 十九世紀という問題(國分功一郎) [315-325]
関連年表 [327-333]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 130.西洋哲学
感想投稿日 : 2016年10月22日
読了日 : 2016年12月7日
本棚登録日 : 2016年10月22日

みんなの感想をみる

ツイートする