立川談志の正体: 愛憎相克的落語家師弟論

  • 彩流社 (2012年2月1日発売)
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感想 : 17
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立川談志は偉大な落語家である。ただ、そのことと談志の人間性とは別問題だろう。その区別がはっきりしない手放しの礼讃が氾濫しているのには、はっきりいって食傷している。
それに異を唱え、神輿に矢を射掛けたのが、談志の弟子でありながら立川流を除籍になった快楽亭ブラック師。本書は、談志の死の直後、独演会でかけた「談志が死んだ」やマクラでふっていた談志ネタをまとめた内容となっている。金に汚い落語馬鹿・談志の姿が浮き彫りにされる。
でも、突き放すようにしながらも、ブラック師は談志への愛を捨てていない。塚越孝さんの「談志はしか論」(ムック『日本一の落語家』)のとおり、ブラック師も「はしか」にかかった一人なのだ。
塚越さんの書くように、談志のことは「神格化せず、いい距離で付き合って行きたい」と感じる今日この頃である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 落語
感想投稿日 : 2012年4月23日
読了日 : 2012年4月22日
本棚登録日 : 2012年4月7日

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