ブッダが説いたこと (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2016年2月17日発売)
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本棚登録 : 262
感想 : 13
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「近代精神を意識して書かれた英語圏最良の仏教概説書。1959年刊」で、本邦初訳だそうだ。

仏教の解説書をそんなに沢山読んだ訳ではないけど、これまで読んだ中では、ブッダの説いたことをこんなに分かりやすく、シンプルに、整合的に説明している本ははじめてだ。

これまで、どうしてこの本が翻訳されなかったのか、全く分からないですね。

きっと、仏教は、英語の本なんか読まなくても分かっているよ、みたいな感覚があったのかな?

あるいは、著者がスリランカ出身で「テーラワーダ」(いわゆる小乗)仏教系だからかな?

でも著者は、「マハーヤーナ」(いわゆる大乗)も含めて、仏教の基本原理は同じで、マハーヤーナも原始仏典から自然な解釈として生じるものとして、整理している。

「ミリンダ王の問い」という仏典があって、ギリシャ人のミリンダ王のいろいろな疑問に仏教の指導者が答えて、この王様は仏教徒になるというのがある。

わたしが読んだ感じでは、ミリンダ王の問いは、「まったく、そうそう」と共感できるのだけど、それに対する仏教側からの答えは詭弁みたいな感じがして、よくこれでこの王様は納得したと思った。

が、この本の説明は、かなり西洋化された自分の思考や意識にぴったりあう形で、疑問に応えてくる。もし、ミリンダ王にこの著者のような人が答えを返していれば、仏教はギリシャ/ローマでもっと拡がったかもしれない、と妄想したりする。

仏教への入門書として、最初に読む本かどうかは分からないけど、最初の数冊の1冊にはいれるといいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月30日
読了日 : 2016年9月18日
本棚登録日 : 2017年4月30日

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