生物は多様である。
が、その多様性のなかに、一貫した法則性を求めようと、物理学的というか、数量的なアプローチで、生物学に挑んだ人たちの話しをまとめたもの。タイトルにでてくる3/4の話しだけではない。
でも、やはり一番面白いのは、3/4の話しかな。
つまり、生物の体の大きさとエネルギー消費量や寿命などとの関係を調べると3/4とか、1/4とか、いう定数がいろいろなところで出てくる。
では、なぜ、分母は4なのか?
研究の初期では、計量の難しさもあって、2/3といった、分母が主張されてたのだが、分母の3というのは、理論的に理解しやすい。つまり、我々の住む空間は3次元だということをベースに、生物の体重や表面積、エネルギー消費の話しを考えていれば、分母が3というのは説明可能とのこと。
なぜ、分母は4なのか。
本当は、われわれの住んでいる空間は4次元なのか?
なんて思っていると、どうも答えは、複雑系的なネットワークとか、フラクタルといったことと関係していそう。血液とか、樹液をフラクタルに分かれて行くネットワークで供給していくと考えると、4次元的な状態が発生する、というのが今一番もっともらしい説明らしい。
という話しは、なかなか面白かったのだが、もう少しその辺の説明が分かりやすく記載されていれば良かったのにな、と思った。
この本は、研究者ではなく、科学ジャーナリストが書いた物で、人物紹介を中心にしていて、何でも自分で、現地にいって体験しようというところが、読みやすく、また共感するわけだが、一方では、科学的な説明の部分が簡単すぎて、今ひとつ、知的なスリルは味わえないところがあるかな?
それにしても、生物を説明しようとすると、3次元でなく、4次元が必要みたいで、相対性理論と量子力学を統合しようとすると最低でも5次元、超ひも理論とか、M理論とかになると、10次元とか、11次元必要だということになるんだなー、と思うと感慨深い。
これって、プラトンの洞窟の比喩みたいですね。つまり、人間は洞窟のなかで、外からの光の影が洞窟の壁に映るのをみて、それを現実だと思っている、というやつ。
世界は、やっぱり複雑で、そのままでは統一的に理解することはできないので、目に見えないもう一つの軸(=次元)が必要となる。
で、その軸は、実在する、と考えるのか、あるいは複雑なものを理解するための補助線みたいなもので、理論上の便法と考えるのか、なんて形而上学的な思考に誘われるのであった。
- 感想投稿日 : 2017年5月1日
- 読了日 : 2010年1月9日
- 本棚登録日 : 2017年5月1日
みんなの感想をみる