デッド・オア・アライヴ

  • 講談社 (2013年12月19日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 33
4

薬丸岳氏の夏目シリーズが読みたくて手に取った本。
帝国ホテル縛りという制約の中で
これだけ幅広い作風に出逢えるのはかなりお得だと思う。

不惑(薬丸岳)
話のラストで動機が一気にひっくり返るのがすごい。
というか夏目のハンパない達観振りには感嘆した。
イマドキこんな達観した40歳はそうそう居ないんじゃないか(爆)。

イーストウッドに助けはこない(竹吉優輔)
導入部を読んだ時点で
どうやって帝国ホテルを絡めてくるんだろうと思っていたが
意外とうまいこと纏まったので驚いた。
これも最後のどんでん返しが爽快。
そこに至るまでの追い詰められっぷりがものすごかったので余計に。

悪魔的暗示(高野史緒)
実在の人物を絡めてくる力業。
連城三紀彦氏の『黄昏のベルリン』を彷彿とさせる。

クイズ&ドリーム(横関大)
…ああ懐かしい『ファミリータイズ』。マイケル・J・フォックス(笑)。
まさかSFを繰り出されると思わなかったので吃驚だ。
『BACK TO THE FUTURE』観たいなぁ久し振りに。
つーかPART3観た記憶がないんだけど…(笑)。

平和への祈り(遠藤武文)
作中に作者登場、ということなんだろうか。
なんつーか、シリアスな聖おにいさん的な?(爆)。
作家に起こった断片的な出来事たちが最後にひとつに纏まる様は圧巻だった。

墓石の呼ぶ声(翔田寛)
この話がいちばん帝国ホテルの歴史的な部分に深くかかわっていた気がする。
最後に辿り着いた結末は恐ろしいものだったけど
それが真実か否か曖昧に終わっている辺りがステキだった。

終章~タイムオーバー(鏑木蓮)
満足に体が動かない状態で頭をフル回転させて真実に辿り着いた
凛子の聡明さと大胆な行動に吃驚。
人を束ねる人はこうでなくちゃいけないんだろうな。
これも最後のどんでん返しが鮮やかな話だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アンソロジー
感想投稿日 : 2014年2月1日
読了日 : 2014年1月29日
本棚登録日 : 2014年2月1日

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