あのひととここだけのおしゃべり: よしながふみ対談集 (白泉社文庫 よ 4-9)

  • 白泉社 (2013年4月26日発売)
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感想 : 36
4

単行本の時点で探してもどうしても見つけられなくて
文庫で出るってわかった瞬間飛びついた(笑)。
そしたら堺雅人さんとの対談が追加で収録されててお得だったという。

対談相手のメンツから見て、内容がもっとBL寄りになるかと思ってた。
よしながさんの話題の広さ、考察の深さに感服。
そして主義主張にちゃんと芯が通ってるところ、ブレなさ加減が心地よかった。

読み進むにつれ、自分自身の本読みとしての歴史、マンガとの関わりの歴史、
読み方の傾向などを一緒に振り返る羽目に陥った。
そして、今までの自分の読み方が如何に無自覚だったかを思い知った。
『耽美系』と『BL』は似て非なるもの、『やおい』の定義、
少年マンガと少女マンガの文法の違い、などなど
ページを捲る度に目からボロボロ大量の鱗が落ちた。
というか、目の前を覆っていた紗幕が取り払われて視界がクリアになった、
という方が感覚として近いかもしれない。
これまではあまり気にしたことはなかったけれども
自分にとって耽美系は男の体を借りてるものの実質は片方は女の子、という体で
BLは性別を超越して人間対人間のレベルで惹かれあう話、
という括りだったのかなーもしかして、と思い始めたところに
『やおい』の定義として例に挙げられた人たちを見て
あー同士がいたーと内心ガッツポーズを決めてみたり
思考をあちこちに飛ばしながらゆっくりゆっくり読み進めたので
想像してた3倍くらいは読み応えがあった。
対談集だからさらっと読めるわー、なんて思ってた自分に天誅、てな気分。
ごめんなさい甘く見てました。

この対談集を読んで思ったのは、よしながふみという人は
思考をどこまでも深く掘り下げることを厭わない、
しかも外から入ってくる意見を拒むこともしない、
広く深く物事を捉えることのできる人なんだなーということだった。
特に最後に追加された堺雅人さんとの対談には
自分の生み出したものを突き放して見ることのできる度量の大きさを見た気がする。
そんなよしながさんが作り出す世界観がつまらないわけがないな、と。

話が逸れるけれど、
志村貴子先生が対談中に仰っていた
『失言をした主人公の女の子が反省をするんだけど、
これくらい反省したからもういいだろう、よしって気持ちを切り替える』
場面が出てくる漫画というのは恐らく川原泉先生の作品なんだけど
(これだからストレスが溜まらない、と手書きの注釈があったのを覚えてる)
それがどの作品だったのかがどうしても思い出せなくてモヤモヤしている。
『殿様は空のお城に住んでいる』だったか、
『バビロンまで何マイル?』だったか。
…あーやっぱり思い出せない気持ち悪い(爆)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ/コラム
感想投稿日 : 2013年5月14日
読了日 : 2013年5月14日
本棚登録日 : 2013年4月14日

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