小説・震災後 (小学館文庫 ふ 18-1)

著者 :
  • 小学館 (2012年3月6日発売)
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本棚登録 : 378
感想 : 61
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小説に名を借りた「未来」へのメッセージ

久々に福井さんの小説を読みました。
「亡国のイージス」以来、福井作品はよく読んでいましたが、この作品にも、やっぱり脇役ながら出てくるんですね。市ヶ谷とか...そして、おじいちゃんがまた格好いい(笑)

震災から3年たって、改めて、本作品で震災後を振り返ることができました。震災後、原発事故後の日本での行動の総括と、その後の未来を語る作品となっています。
自分の子供、さらにはほかの子供たちにどんな「未来」を残せるのかを考えさせられました。

主人公は平凡なサラリーマン。震災後の原発事故を含むさまざまな出来事がすべての人の希望を失わせていきます。そんなさなか、息子が起こしたネット上の事件。
震災後の家族の不安、そして未来への不安の中、なぜか、主人公の父親がそっち系の重要人物だったりして、とてもミステリアス(笑)そんな格好いい父親との交流を通して、主人公が一歩踏み出し、そして、息子と向き合い、メッセージを託す、そんな感じの物語。
エネルギー問題をどう解決するかも、本書の中では語られていますが、その解決策がどうこうというよりも、未来を見据えて、まずは、一歩を踏み出そうっというメッセージを強く感じました。

「将来は放っておいても必ずその人のものになるけど、未来は必ずやってくるとは限らない。見よう、見せようとしなければ見れないし、手にも入らないもの…それが未来です」

私たちは子供たちの未来に何を見せてあげらるのでしょうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年10月18日
読了日 : 2014年10月18日
本棚登録日 : 2014年10月18日

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