レビュー by まささん
京都にある宇治少年院での取り組みに関して中心に書かれている本。実際そこの在院生や出院生のインタビューも載せられていてよりリアルに矯正教育の場が感じられた。
この本には,宇治少年院に在院している子どもにはLDやADHDなどの発達障害児に似た認知の偏りを持つ子が多いと書かれていて,これは非行や犯罪の原因ではなく,あくまでリスクファクターの一つだと徹底して書かれている。しかしこのような傾向を持つ子どもは普段から「問題児」と捉えられ,生きにくさを感じていて,教師からの拒否やいじめなどをきっかけに,不登校や非行に走るようになる。
ただ,この本でまとめられているのは発達障害の有無に関わらず,このような生きにくさを感じている子どもはゴマンといて,それぞれ一人ひとりを理解し,一人ひとりに合わせた支援や教育をしていかなければならないという点。これは過剰収容が問題となっている少年院で実際プログラムを組んで行われていることを考えれば,学校現場や地域社会でも取り組みは可能なんじゃないか?
この本を読んで,やっぱり矯正教育機関内での取り組みだけでなく,それ以外の子どもと関わる全ての大人が考え,取り組む必要があるんじゃないのかと改めて感じた。でもそのためにどうすればいいんだろうか。少年院での取り組みやその取り組みに至った経緯などをオープンに広めていくことが必要なのかな。ただ,これは5-6年前の内容なので,当時ほど発達障害が社会的に認知されてないことはないだろうと思う。
それとこの著者の,少年法の厳罰化が少年犯罪の減少に効果があるかは疑問と書いている事と,加害者を擁護するわけでも法務教官を称えるわけでもなく,ただ大人が子どもを理解しようとし,一人ひとりを大切にしなければならないという想いを現状と共に伝えようとしている点が良かった。
レビュー登録日 : 2011年05月29日
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