独裁者の最強スピーチ術 (星海社新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年4月26日発売)
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感想 : 55
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【内容】
本書は独裁者に学ぶスピーチ術の本である。ただ、スピーチのみならず、人の心を動かしたい人にとっては非常に有効な人心掌握術の本でもある。独裁者は、なぜ「言葉だけ」で世界を動かすことができるのか?悪名高い独裁者であるヒトラー。そして現代日本で「独裁者」と呼ばれている橋下徹。この二人の演説を中心に、ストーリーブランディングの第一人者である著者が徹底分析。多くの人を行動に導く秘技をあぶり出す。 (「BOOK」データベースより)

【感想】
 ヒトラーと橋本市長の演説から、人の心を動かすテクニックを解説した一冊。2人の演説が、そのまま記されており、演説の巧さを感じずにはいられない。それを読むだけでも価値はあるが、筆者によれば、人を動かす演説の「ストーリーの黄金律」とは、「1.何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公が、2.なんとしてもやりとげようとする遠く険しい目標・ゴールをめざして3.数多くの障害・葛藤・敵対するものに立ち向かっていく。」この3つの要素がスピーチに含まれていると、人は感情移入しやすく、心を動かされやすく、行動に駆り立てられやすくなる。神話時代からストーリーを語り継いできた人類が共通して持っている性質であるとのこと。(p58)

■独裁者になるためのスピーチ術10ヶ条(P105)
①何よりも本人が「熱」をもて
②自分の政策を心に残るワンフレーズで表現し、それを繰り返せ
③国を欠落した主人公にしたてあげ、それを救う白馬の騎士を演じろ
④具体的な政策は語らず大衆に夢を見させろ
⑤かならず敵をつくれ、その敵をできるだけ巨大化せよ
⑥2つのストーリーを交錯させ錯覚せよ
⑦聴衆のプライドをくすぐれ!聴衆が心の中で思っていることを話せ!
⑧目の前にいる人間の利益になることを話せ
⑨強い権力者にはへつらい媚びよ 用がなくなったら捨てよ
⑩自分に風が吹いているあいだに、なるべく権限を奪え
■橋下徹流 人をとりこむスピーチ術10ヵ条(P225)
1.一人称を「僕」にし、無駄な敬語は省く
2.みなさーんと何度も呼びかけ連帯感をつくる
3.3つ並べる
4.サウンドバイトで心にかみつく
5.似た構造をリフレインしていく
6.偽悪的に振る舞う
7.聴衆によって言葉づかいや内容を変える
8.実施する政策が歴史的大事業だと思わせる
9.聴衆を自分たち側に巻き込んでいく
10.一度チャンスを与えてくださいとお願いする

 演説をする機会はそうそうないとは思うが、スピーチをする際には参考にしたい。ただ、実際に実行するのは、センスと努力が必要であろうとも思う。「言葉力」「スピーチ力」を高めたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2013年6月20日
読了日 : 2013年6月20日
本棚登録日 : 2012年12月13日

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