第58回(昭和42年)直木賞受賞作。
有名な火垂るの墓を含む短編集。
独特の言い回しに直木賞というより、より純文学的な芥川賞に近しい気すらしてくる。
火垂るの墓はアニメで有名だが、それを見たことが無い自分はその先入観がなく、野坂昭如の実体験に基づくその思いを十二分に感じられたと思う。
誤解を恐れずに言えば、文章を読む限り、アニメ(文庫本の表紙がアニメの火垂るの墓)のようなエンタメにはなりえない。そもそもアニメみたいなふくよかな肉付きの良い絵になるわけがない。
著者の実体験に基づいているので、兎に角ディテールが圧倒的に凄いし、それが、根底にあるので、ひとつひとつの出来事に対する価値観として「何故それが正しいと言えるのか」という問いに対し、自信を持った回答ができない。
戦時中とはそういうことなのかもしれない。
死であり生であることなのかもしれない。
アニメでなく原作を読む事を勧めたい。
きっと心の深いところをぎゅっと掴まれた感じになると思う。
読書状況:読み終わった
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その他作家
- 感想投稿日 : 2016年2月14日
- 読了日 : 2016年2月14日
- 本棚登録日 : 2016年1月27日
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