そろりそろりと忍び寄り、細部にわたって仕組まれていた時間が、するするとほどけてゆく。少年にかけられていた、ありとあらゆる抑制の呪縛と共に。埋もれていた真実は鮮やかに甦り、その力を一気に芽吹かせる。そうして、ひとつの救いになる。生きてゆく上での。生涯にわたる救いに。これは、青年リュスの物語だ。リュスは救済院で育ち、自分の感情を封じ込めるようにして生きてきた。自分の名前に込められた意味を誤解したまま、世間で言う弱者として。高校を飛び級して、大学の学費を稼ぐために地図収集館で働きはじめたリュス。その周囲で、次々と不可思議なことが起こりはじめる。
レビュー登録日 : 2010年09月04日
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