19世紀のシオニズム運動の始まりから1991年の中東和平国際会議直前まで、複雑なパレスチナ問題の経緯をコンパクトに分かりやすくまとめている。<br /><br />イギリスの外交に端を発していたこと、ユダヤ人がパレスチナ人を追い出してイスラエルを建国したこと、というような漠然とした予備知識しか持っていなかったが、その複雑な経緯がすっと頭に入ってきた。2つの民族だけではなく、その周辺国や米ソの政治的思惑と駆け引きによってめまぐるしく状況が展開されてゆく。<br /><br />この問題を動かしているのは宗教的なぶつかり合いだけではない。内外の人口動向と経済状況が重要なキーになっていると思った。<br /><br />本書ではユダヤ人の状況を中心に解説されているが、この問題は周辺から迫害されてきた2つの民族、ユダヤとパレスチナが最後に同じ場所へ押し込められたために発生したのだと感じた。<br /><br />最初に地図と年表が記載されており、理解を助けてくれる。新書にしては最後に索引がついているのも良い。中東和平国際会議以降の展開を補足した新版が欲しい。
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- 感想投稿日 : 2008年5月17日
- 読了日 : 2008年5月31日
- 本棚登録日 : 2008年5月17日
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