蝿の王 (集英社文庫 コ 1ー1)

  • 集英社 (1978年1月1日発売)
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本棚登録 : 143
感想 : 23
3

少年達が漂流して無人島へ。助けを待ちながらそこで生き抜いていこうとする物語。
……と言えば、もうちょっと前向きな感じだったり、サバイバルへの創意工夫、挫折、不和、それらを一致団結して乗り越えていく感じ、みたいなものが想像されるけれど、これは違う。

奇妙にリアリティのない島で、狂気ちょっと手前の生活が繰り広げられる。
島は大きくはないけれど、真水の湧く場所があり、食べられる果実がふんだんに実り、しかも欲望のままに食べ続けても尽きることは無く、凶暴な生物や毒のある生物はいないけれど、野豚はいる。気候は温暖で日が沈んでも凍えることはない。そんな楽園のような島。

それなりに統率する努力はあったけれど、少年ならではの無謀や奔放さがいろいろと台無しにしていく。
最初は「まったく、これだから男の子ってやつは……」なんて気持ちで読んでいたが、ページを繰るにつれ、洒落にならなくなっていく印象。
少年達の精神が摩耗していく様子が克明に描かれていて、なかなかにどす黒い小説。

戦争への風刺……なのかな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他小説
感想投稿日 : 2014年9月28日
読了日 : 2014年9月28日
本棚登録日 : 2014年9月28日

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