『きみはいい子』と同じ町にある病院が舞台。
主人公は准看護師の弥生。名の由来は「三月に拾われたから」。
児童養護施設で育ち、今の職を失って引っ越す事になると保証人をしてくれる人がいないので、どんなに上司への不満が募っても「いい子」の仮面を被って従うのみ。
そんな病院に、新しい看護師長・藤堂がやってくる。
藤堂師長は医師や看護師たちの問題点を初日から浮き彫りにして、改善に向かわせていく。
医療体制のみならず、人の心についても……。
「いい子」でなければ居場所を失うと強く思い込んでいる主人公弥生はもちろんですが、一番印象深かったのは81歳の毒母である患者と毎日見舞いに来る搾取用の娘、臨終を看取りにも来ない愛玩用の息子のエピソードでした。
母の今わの際にまで「おまえじゃない」と否定された娘。
毒母は死んでも娘の気持ちが分からない。
また、『きみはいい子』に登場した、継父から虐待を受けていた児童・神田さんの母親が主人公の同僚看護師として登場します。
この神田母も藤堂師長の力で前向きに変わる事ができました。
いい子でも悪い子でも、「わたしはわたし」。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年7月15日
- 読了日 : 2015年7月15日
- 本棚登録日 : 2015年7月15日
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