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蜘蛛女のキス (集英社文庫)についてのM-CHAMPさんのレビュー


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蜘蛛女のキス (集英社文庫) 271人が登録 ★3.88

著者: マヌエル・プイグ  制作: 野谷 文昭 
本 / 集英社 / 416ページ / 1988年10月20日発売

レビュー by M-CHAMPさん

2010   読み終わった  読了日 : 2010年03月26日  3  登録日: 2010年03月26日

アルゼンチンの監房を舞台に、政治犯のインテリ革命家と映画マニアの中年ホモセクシュアルの間に生まれる不思議に切ない絆を描いた作品。モリーナが語る映画の物語は陳腐なメロドラマだが、美しい映像が目に浮かぶような陶酔に満ちた口ぶりが何より魅力的で、「崇高な」政治思想を抱いているヴァレンティンもやがてその大衆的な生の魅力に惹かれていく。現実を超越した美や愛にひたるモリーナ、現実を変える使命感に追い立てられるヴァレンティン、互いに心通わす中で生まれる優しい感情は、確かに絆ではあるけれども同じベクトルで結ばれたそれではなく。モリーナの「愛」とヴァレンティンの「現実」は同一のものにはならないが、それでも結果として互いの中に残った互いへの情は意味のある、美しいものだったと感じられる。情景は一切描かれない、会話文のみで淡々と綴られる二人の物語は、舞台版とはまた違った切ない虚しさと感傷を残す。(2010/3/22読了) レビュー登録日 : 2010年03月26日


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