青年のための読書クラブ

著者 :
  • 新潮社 (2007年6月1日発売)
3.73
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本棚登録 : 2440
感想 : 425
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少女革命ウテナの「かしらかしらごぞんじかしら~?」を彷彿とさせる表紙に惹かれて読みました。

分類するならば、同じかもしれないけれど、受ける印象は違います。


女子高の話です。
それも、「ごきげんよう」の世界です。
知的な生徒会と華美な演劇部が全ての中心である聖マリアナ学園。
美しく上品なお嬢様の園からはみ出した者(醜かったり、庶民だったり、「スベ公」だったり)が集まる「読書倶楽部」が記す、正史には残されない珍事件達がそのままこの物語を構成しています。
コード・ネーム(ペンネーム)がそれぞれ面白い。

この独特の「桜の園」を書いたのが男性かと驚いたのですが、桜庭一樹はペンネームだそうで。まあ納得。
これをただ「女子高=耽美=神秘」みたいな括りでは読まないでほしいなあと僭越ながら思います。
かなりコミカルでシニカルでにやにやしたり、ちょっと同属嫌悪で不思議な気持ちになったりします。
私が聖マリアナ学園にいたらきっと読書倶楽部に入ってしまったに違いない。ものすごく厭世的かつプライド高くなってそうだな・・・

表紙から「影絵」とか「御伽話」という印象を受けたのだけれど、読んだ後は「意思を持った操り人形」(ちょっと矛盾?)に見えるようになりました。
「マリアナ」の運命に操られた人形達は、現実社会に巣立っていくのかと思いきや、やっぱり本質的にその要素があったと。

2章を除いては「王子」(女子高における憧れの存在。偶像。宝塚の男役のように少女が憧れる男の美しい部分わかりやすく言えば「ウテナ」)という役割が重要になっています。それについては曾我棗の言葉がとても的を射ている。この独特の世界が良くわからない人は注目して読んでみてください。
それにしても、シラノ・ド・ベルジュラックかー。

「恋は、人の容姿にするものか?それとも、詩情にするものなのか?」

さて、どちらでしょうかねー。


しかし、5章『ハビトゥス&プラティーク』に出てきた紅子にはショックを受けたなぁ・・・ということはまだ私の中には現実を見ていない少女の部分が残っているのかしらw
何だかんだ言って慣れ親しんだ女子高の空気は居心地がいい・・・というか故郷というか。根に息づいているんだなぁ。



1つ不満を挙げるとすれば、読書倶楽部の部員の一人称が揃いも揃って「ぼく」だったこと。
まぁ、統一感がある、同じ雰囲気が感じられる・・・と言えなくもないが、イラっとしました。ちょっと拗ねた、ひねた、強がったように感じられて・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年9月23日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年9月23日

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