平成お徒歩日記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2000年12月26日発売)
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本棚登録 : 984
感想 : 89
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宮部さんが赤穂浪士の歩いた道や江戸市内引き回しの刑の道、関所のあった箱根旧街道、江戸城(跡)一周、流人の島八丈島、本所七不思議のあったとされる場所、善光寺から伊勢神宮までと基本お徒歩した記録をまとめたエッセイ。

まず、企画が面白い。
江戸時代のテーマにしたがって歩きながら検証つつ、現代はどうなっているのかを織り交ぜていて良い。

八丈島の章なども、島流しにされる場所だったことなど知らなかったのだが八丈島の文化は流人が造った文化などと言うとさらにどんなだったのか知りたくなる。

また、ちょうど事件のあった時だったようで、其の六の章で少し神戸の酒鬼薔薇事件について触れているのだが、現代の街はきれいになって便利に住めるけれど、人間の中に巣食う「魔」を解き放つ場所がなくなって、闇の部分を中和する力がなくなったという考察が興味深かった。

時代物よりも現代物のほうがどちらかというと多いのだが、もっと時代物を読んでみたいと思わせるエッセイだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年7月26日
読了日 : 2016年7月26日
本棚登録日 : 2016年7月26日

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