長い長い物語だった、若き清盛から頼朝の死まで。
登場人物の誰もが、人間的な魅力と涙腺を緩ませずにおかないエピソードの持ち主だ。
時代小説は史実と創作を読み手側で、勝手にごっちゃにしてしまいがちだけれど、吉川英治氏の新・平家物語では「創作」と「明らかな史実」と、「諸説あり」等、をことわってくれているので混同せずに読める。
一千年余前の我が国の歴史が、ここでは温かな血肉を持つひとびとの物語として胸に迫る。現代にあっても色褪せない、必死に生きた人間たちの群像を綴っている。特に親子の情愛には深く心を打たれる。清盛と子どもたち、義経と常盤、幼帝と建礼門院。上皇天皇から市井に生きるひとびとまで,様々な親子の情愛の物語は、著者自身がこれを執筆中に「父親」となり、子の成長や親としての愛情を日々感じる毎に膨らんでいったように、行間に窺がえる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年1月17日
- 読了日 : 2017年1月17日
- 本棚登録日 : 2016年8月30日
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