絵本 化鳥

著者 :
  • 国書刊行会 (2012年10月1日発売)
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本棚登録 : 229
感想 : 43
5

泉鏡花の初期短編を絵本化したもの。
真っ白な表紙は、よくみると波のような翼がおしてある。
その真っ白な本を開くと豊かな色のページが目に飛び込んでくる。
寒色が基調だから、美しい思い出のページのあたたかさが一層際立つ。

切り絵や版画のようなこの絵は「和ポップ」と評されているそうな。
なるほど。確かに。
「江戸の絵を愉しむ」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4004308437にあった、本を「ひらく」ことを意識したつくりってこういうことか。
間や色の使い方が鮮やか。
これは電子本じゃだめだ。紙の本であることを有効に使っている。

本文から抜き出した言葉と絵の絵本部分のあとに、鏡花の全文と解説がある。
この本で初めて「化鳥」を読んだ身には、この順番がありがたい。
絵本を読んで満足したけど本文を読んだら解釈が変わった。
本文だけなら話の意味がわかる前にやめてしまったかもしれないし、絵本だけならここまで強い印象は残らなかったかもしれない。

ファンタジーのような、そうでもないような、不思議な話。
しばらく世界に浸りたい(けど無性に京極夏彦が読みたくなった)。

違うけどちょっと連想した。
「ともだちくるかな」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4032049203

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書 社会派
感想投稿日 : 2013年2月16日
読了日 : 2013年2月15日
本棚登録日 : 2013年2月16日

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