はるかぜちゃんのしっぽ(ω)

著者 :
  • 太田出版 (2011年8月25日発売)
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本棚登録 : 170
感想 : 28
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はるかぜちゃんこと子役の春名風花ちゃんのつぶやきまとめ。
仕事のこと、学校のこと、家族のこと、子供がネットやフィクションに触れることについて、などなど。
ツールに使われてない。上手にツールを使ってる。
私は文字でしかこの子を知らなかったんだけど、写真でみると本当に子供だ。(当時十歳)

考えがものすごくまっとう。大人っぽいっていうのとはちょっと違う。
賢そうだしプロ意識はすごいけど、でもちゃんと子供。
この子が特別な子だからすごいというのではなくて、思考を重ね表現を鍛えてきたことが力になっている。
この賢さは野放しにしたらものすごく生きづらくなってしまいそうだけど、外と折りあったり自分を通したりする能力を育てている。

昔の生活綴り方や外国の子供の日記なんかを読むと、この年でこんなに書けるのかとびっくりする。
というか、日本の図書館なんかにある感想文やレビューを見ると中身がなさすぎてがっくりする。
でもあれは今の日本の子がバカなんじゃなくて、表現や思考の方法をきちんと教えてもらっていないからだと思う。
だから、たまに見つかるはるかぜちゃんみたいな子が異端にみえる。

プロ意識に関しては子供なのにとか大人のようにとかじゃなくてこの子がすごい。
落ちてるときに「(この世から)消えたい」じゃなくて、「(この業界から)消えたくない」って言葉が当たり前に出てくるのがすごい。

そう育てている親御さんもすごい。
ネット上には子供相手に罵倒を浴びせる人もたくさんいる。
子供が自分の寒いギャグをさらしてたら、私なら「やめて」って言いたくなる。
大事な子供をそういうものから遠ざけたくなるのが人情だけど、自分で判断させてる。
弟も自分で考えて動ける子っぽい。
考えさせて育ててるから、子供を信じることができる。
(心配を見せないハッタリもきっとある)

『りんごの丘のベッツィー』を思い出した。
あれは子供を守ってあげたい大人に守られ過ぎて自分で動けなくなってしまう子供の話。
できるからやりなさいって信じてあげるのは、すごく大事で難しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会評論・思想
感想投稿日 : 2013年7月20日
読了日 : 2013年7月17日
本棚登録日 : 2013年7月18日

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