下着のカタログは魅惑的だ。
機能に特化したものもあれば、美しさに特化したものもある。
それはまるで、身に付ける者の心を映しているかのよう。
見えないからこそオシャレに、見えないサポートがほしい。
その一方で、見えないから手を抜いてしまう気持ちもある。
今はどうせ妊娠中で、授乳用の下着しかつけられない、こんな美しいものを身に付けるのは1年先だ.....。
だったら適当でいいや......。
そこに本書はちょっと待ったと声を上げる。
このまん丸なお腹と、胸に美しさをお前は感じないのか?
授乳後にいい加減な体、バストでいいのか?
なりたい自分になれるのだ、だったらなれ!
主人公の颯子はあるランジェリー店で劇的な出会いを果たす。
仕事に対する心構えがまず変わる。
次に、元彼の結婚式に呼ばれる。
コムスメに対抗するため、下着を選びに来た。
ついでにストッキングや腹巻も購入する。
バックシームのセクシーでエレガントなストッキングと腹巻。
おもしろい組み合わせだ。
さて、勝負下着を身につけ、結婚式でコムスメを笑ってやるつもりだった颯子。
そこで彼女が見たものは、自分や周囲と正面から向き合うことのできなかった「自分」の姿だった。
そして彼女は変わっていく。
望んでいない、大きな変化とも対峙する。
誰かのために、も必要だ。
相手に対する思いやりは忘れてはならない。
しかし、相手に合わせることに違和感を感じ続けながら自分を演じることは、仕方のないことでも絶対的なことでもない。
自分らしく生き、かつ誰かのためになることを目指すべきで、それが本当に自分に合っているのなら、窮屈なだけではないはずだ。
「自分らしく」とは、自分を支え、整え、自信をつけてくれるものだ。
そう、下着も、パートナーも。
- 感想投稿日 : 2015年10月3日
- 読了日 : 2015年9月12日
- 本棚登録日 : 2015年10月3日
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