印象派、とりわけクロード・モネは日本で展覧会が開かれるたびに大盛況になる画家だ。
そのためか、著者の『ジヴェルニーの食卓』もまた人気だったようだ。
本書は著者の展覧会での講演をまとめたもので、実際に絵を見ながらであれば、モネの作品がより身近に、より美しく見えたことだろう。
掲載された中でカラーは口絵の二点のみ。
それが本書の唯一残念な点だ。
特にマネの<オランピア>では脇に書かれていた黒人女性が白黒印刷のために背景に紛れ、潰れてしまっている。
印刷上の問題はある程度許容しなければならない点ではあるが、これはもう少し工夫して欲しかった。
しかしたくさんの絵が収められているので、その点においては楽しかった。
モネのあしあと案内はこれからアート巡りをする人にとってはとても役に立つはずだ。
フランスのオランジュリー博物館なんて難易度が高すぎるよ!だって?
いやいや、都内でも、十分楽しめる。
世界遺産にもなった国立西洋博物館、ブリヂストン美術館、サントリー美術館など、思ったより近くにモネはいる。
著者も言うように先人たちの先見の明には恐れ入る。
一方で影響を与えた浮世絵が多数流出してしまったことは本当に残念なことだ。
印象派。
遠い国の、異なる文化がともに認め合い、惹かれ合う美しさ。
そこに宿る「何か」は、私たちの心をこれまでも、これからもふるわせ続けている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
芸術
- 感想投稿日 : 2017年6月15日
- 読了日 : 2017年4月25日
- 本棚登録日 : 2017年6月15日
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