京都の長屋にある料理教室。
土曜日は男性のみの教室。
そこに集った生徒たちと、愛子先生の物語。
表題作、「初恋料理教室」は図書館司書の女性に恋した建築家の物語。
その人と仲良くなりたくて、図書館にかよい、レファレンスサービスを使い、料理を覚え…。
涙ぐましい努力に、恋とはこんなものだっけと遠い記憶を思い出す。
あなたと世界を共有したい、その想いに突き動かされた日々を。
それは「人生におけるささやかな変化」(88頁)。
その素晴らしさは時を超え、人を動かす原動力として今も昔も変わらずある。
「ふたりの台所」は女装のミキの物語。
承認欲求、共依存…。
名前をつけたことで見えなくなるものもある、とミキは言う。
しかし、逆に名付けることで見え、解決に至ることもある。
社会常識、家族への関心が薄い母、過食に走る姉…。
他人を変えることは容易ではないけれど、助けを求める人に対し手を差し伸べることは難しくはない。
足りないものなら足せばいい。
これしかない、と決めつけては動けるものも動けない。
巻末のレシピは難しくなく、すぐできそう。
ただし大人には美味しい梅酒は子供にはあげられないので、ジュースで気分を分かち合おう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2017年8月8日
- 読了日 : 2017年6月9日
- 本棚登録日 : 2017年6月15日
みんなの感想をみる