初恋料理教室

著者 :
  • ポプラ社 (2014年6月2日発売)
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本棚登録 : 1197
感想 : 185
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京都の長屋にある料理教室。
土曜日は男性のみの教室。
そこに集った生徒たちと、愛子先生の物語。

表題作、「初恋料理教室」は図書館司書の女性に恋した建築家の物語。
その人と仲良くなりたくて、図書館にかよい、レファレンスサービスを使い、料理を覚え…。
涙ぐましい努力に、恋とはこんなものだっけと遠い記憶を思い出す。
あなたと世界を共有したい、その想いに突き動かされた日々を。
それは「人生におけるささやかな変化」(88頁)。
その素晴らしさは時を超え、人を動かす原動力として今も昔も変わらずある。

「ふたりの台所」は女装のミキの物語。
承認欲求、共依存…。
名前をつけたことで見えなくなるものもある、とミキは言う。
しかし、逆に名付けることで見え、解決に至ることもある。
社会常識、家族への関心が薄い母、過食に走る姉…。
他人を変えることは容易ではないけれど、助けを求める人に対し手を差し伸べることは難しくはない。
足りないものなら足せばいい。
これしかない、と決めつけては動けるものも動けない。

巻末のレシピは難しくなく、すぐできそう。
ただし大人には美味しい梅酒は子供にはあげられないので、ジュースで気分を分かち合おう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2017年8月8日
読了日 : 2017年6月9日
本棚登録日 : 2017年6月15日

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