([む]2-2)お任せ! 数学屋さん2 (ポプラ文庫 む 2-2)

著者 :
  • ポプラ社 (2016年4月5日発売)
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感想 : 20
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数学なんて何の意味もない、役に立たない。
そう思っていた少女の心を変えた少年はもういない。
互いにほのかな好意を抱きつつ、少年は少女のもとを去った。
遠くアメリカに旅立ってしまった少年は、数学技術の発達によって、少女のもとへ帰ってきた!

今回の物語は文化祭の出し物を決め、乙女心を理解し、不登校の生徒をすくい、夢との距離を測るというもの。
これまた難問。
数学でこの難問を解決だって?
詭弁じゃないか!
いやいや、本当にそうかな?
効率だけを追い求めるのが常に正しいとは思わないが、限られた時間や人数、予算の中で皆がある程度納得して答えを出すのにデータは必要だし、比較検討も大事なことだ。
私は模擬店か演劇か、と問われたら、食べる方に回りたいし、元演劇部としては演し物を強く押したいが、このクラスではいったいどちらを選択するのかな?

やらなければ期待値はゼロ。
そう、人生は動くことで変わっていく。
「どうせダメだから」
「意味ないから」
そうやって人はできない理由を探したがる。
なぜならその方が簡単だし、楽だし、何より自分を守れるから。
失敗するかもしれない。
徒労かもしれない。
だが、現時点でそう見えたとしても、それが本当に失敗だったかどうかなんてわからない。
それは譲れないものを持っていて、成功しているものの意見だろうか。
いや、そんなことはない。
本という言葉の世界に救われたとしても、どうせきれいごと、なんて思ったこともある。
しかし、数学という世界が文学の世界を通じて話しかけてくる言葉に耳を傾けると、「きれいごと」が「論理的」になってくる。
一つの道からだけでは納得できなくても、わからなくても、別の道からの働きかけに触れることで、自分が歩いて来た道が全部マルになってくる。
だから歩いてみよう。
自分が、やりたい、そう思う道を。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2016年6月19日
読了日 : 2016年5月9日
本棚登録日 : 2016年6月19日

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