ウは宇宙船のウ (1) (小学館文庫 はA 10)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 684
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091910202

作品紹介・あらすじ

ブラッドベリ原作、珠玉のSFポエジー

ぼくたちはロケットが大好きだった。土曜日の朝の宇宙空港、爆音とともに大空へ消えゆく光点。いつかあのロケットで星の海を渡っていくことを、ぼくたちはずっと夢みていたのだった …。少年たちの宇宙への憧れに満ちた表題作をはじめ、深海の闇にまどろむ恐竜を100万年の時を越えてよびさます「霧笛」、万聖説の宵は妖魔たちの饗宴「集会」など、レイ・ブラッドベリの傑作短編を萩尾望都が描く、珠玉のSFポエジー全8編。

感想・レビュー・書評

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  • 知らない世界につれていかれる本。

    「みずうみ」「ぼくの地下室へおいで」「集会」が好き…読了後にゾクッとなりますよ!

    「ウは宇宙船のウ」のタイトルが素敵です!


    ぜひ〜

  • 初めて読んだのは高校生の頃。古本屋で本書の前身である、カバーなしの集英社文庫版を見つけて買った。時が過ぎ、レアなこの古本は実家のどこにいったやら…なので改めて買い直して再読。
    つくづく、ブラッドベリ×萩尾望都、最強タッグだと思いました。不気味で、不思議で、哀しくて、怖くて…SFだからこそ伝わってくる繊細な心理描写。構成も見事で、ストンと斬られるような展開に、何度も驚き、おののいた。
    高校生の頃はやはり少年少女の主人公に共感していたけど、不惑の今となってはその親の心情になってしまうな…。宇宙飛行士を目指す子を応援し、だけど別れの寂しさに板挟みとなる母。「城」のような家を世界の全てと教え、閉じ込める母。宇宙船乗組員の夫を、地球につなぎとめようと子に縋る母。(だけど子供は父の姿に憧れていて…。)何回も読み返すたび、読後感は微妙に変化し、キャラクターの多彩さと舞台設定の奥深さを感じるのだった。
    どの短編も印象深いけど、少年達の瑞々しい友情がまぶしい表題作が個人的には好き。そして、その表題作に寄せた、巻末の谷村志穂さんのエッセイもまた素敵であった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「不気味で、不思議で、哀しくて、怖くて…」
      未知の世界への畏怖が良く表されていたと思います。相通じる部分があるんでしょうね、、、
      「不気味で、不思議で、哀しくて、怖くて…」
      未知の世界への畏怖が良く表されていたと思います。相通じる部分があるんでしょうね、、、
      2013/03/18
    • メイプルマフィンさん
      いずれブラッドベリ版も読んでみたいと思っております。非現実とリアルの境目の描写が、活字だとどう表現されているか興味津々。
      いずれブラッドベリ版も読んでみたいと思っております。非現実とリアルの境目の描写が、活字だとどう表現されているか興味津々。
      2013/03/18
  • ■ウは宇宙船のウ 31p
    抒情たっぷり。
    「ポーの一族」がひと段落し、「百億の昼と千億の夜」で弩級のSFと戦ったあとに、これを原作に選ぶのがいい。
    歴史的にはどうかわからないが、最早ブラッドベリ+萩尾の組み合わせが至上と思える。

    ■泣きさけぶ女の人 22p
    これは恐い……読んだ年齢によっては永遠に引きずるかも。
    というのも自分しか知らない埋められた女の人を、どれだけ訴えても大人が真面目に取り合ってくれない、その無力感と、実際的な怖さと。

    ■霧笛 32p
    抒情……失われたものへの愛惜……人生……恐竜。
    灯台守が、恐竜の内情を想像するところに、人生が重ね合わされて……いい。

    ■みずうみ 18p
    溺死した永遠の少女。アナベル・リーか。
    「ポーの一族」のメリーベルの系譜。

    ■ぼくの地下室へおいで 30p
    こりゃ怖い。
    ジャック・フィニイ「盗まれた街」プラス、本多猪四郎「マタンゴ」。

    ■集会 31p
    ハロウィーンのオバケたちの中で、落ちこぼれの少年が視点人物。
    オバケ目線でも孤独なのだ。

    ■びっくり箱 32p
    「屋敷に閉じ込められる子供」モノ。
    なんと命名すればいいのか分からないが。
    ヨルゴス・ランティモス「籠の中の乙女」、服部まゆみ「この闇と光」など。
    もう少し場所を拡げればルシール・アザリロヴィック「エコール」「エヴォリューション」も入れていいかな、と考えたところで、あー寄宿舎モノと繋がっているんだな、と気づいた。

    ■宇宙船乗組員 23p
    これはつらい……「ウは宇宙船のウ」と対になっており、本の最初と最後で美しい構成になっている。
    ところでラスト1コマについて、ごく最近似たオチをどこかで見たような気がするのだが……思い出せず……ひょっとしたら他の作品ではなくてこの作品を思い出しているだけなのかもしれない。

    ◇エッセイ―ねえ、君たちは今どこにいるの?:谷村志穂(作家) 4p

  • ミステリアスな作品集。『びっくり箱』は母親の支配からの脱出なのだろうか……でも、深く考えるのが怖い。

  • レイ・ブラッドベリとSFに興味を持つきっかけになった漫画です。
    初めて読んだときは衝撃を受けました。
    とくに「霧笛」を読むたびになぜか泣きそうになります。永遠を生きる孤独の悲しみ、途方もない時間待つにもかかわらず報われない愛。切ないです。
    「ぼくの地下室へおいで」は読後しばらく考え込んでしまう作品。なにかがおかしい、じわじわと見えない何かによって変化させられていく怖さを感じ取るロジャー。でも何も根拠はなく、不安も漠然としているので「そんなこと気にしてもしょうがない」「疲れているんでしょう」と取り合ってくれないのが普通。でも人はいつもそういうサインを見逃し、また先送りにして本当に困ったときに慌てて対策を考えるはめになるのは何とかならないんかな?とか考えてしまう。そしてマニーの考えはほとんど的を得ているけどもあり得ないしあくまでも憶測。ラストになんとなくゾクッとします。
    原作の方も読みたいです。

  • レイ・ブラッドベリの作品をもとにした短編8編を収録しています。

    表題作の「ウは宇宙船のウ」と巻末の「宇宙船乗組員」は、SF色の強い作品です。もちろん短編なので、凝った世界設定などに読みどころのある作品ではなく、地上につなぎ留められた人間が広大な宇宙に夢を馳せるロマンティシズムが表現されています。

    「泣きさけぶ女の人」や「ぼくの地下室へおいで」は、幻想的な結末が印象的な作品です。こうしたテイストの短編といえば、おなじく「二十四年組」の一人である山岸凉子の得意分野という印象が強いですが、本書の作品は緊迫感が若干控えめな一方、抒情性が強く現われているように感じられます。

  • 【収録作品】ウは宇宙船のウ/泣きさけぶ女の人/霧笛/みずうみ/ぼくの地下室へおいで/集会/びっくり箱/宇宙船乗組員

  • ブラッドベリ原作ものの短編集。コクトーもそうだったけれど、ブラッドベリも本家より先に萩尾望都で読んでしまった。「霧笛」がやはり思い入れ深い。

    ※収録作品
    「ウは宇宙船のウ」「泣きさけぶ女の人」「霧笛」「みずうみ」「ぼくの地下室へおいで」「集会」「びっくり箱」「宇宙船乗組員」

  • レイ・ブラッドベリの短編小説をモー様が漫画化。

    どれもこれもせつない。

    霧笛が凄く悲しい…。

  • 原作の透明感というか、実世界とほんの薄紙一枚だけ位相のずれただけの繊細なレイ・ブラッドベリのSF小説の世界を、見事に絵にしていて、すごい。これを読んで、ブラッドベリファンになりました。

    「夢見る少年(少女)」が主人公の、全部で8編のSFポエジーが入っており、その一遍一遍が、異彩を放って忘れがたい。
    特に、「ウは宇宙船のウ」と「霧笛」は何度読み返しても、心に響き、泣きそうになります。(最初に読んだときは号泣しました。しばらくこの本を手に取ることができないほどショック。)

    コドモは共感し、オトナはかつての純粋な夢見る気持ちを思い出す。
    心揺さぶられるマンガ!

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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