この時代の物語でありながら、現代的な軟弱気味な男子と、同じく現代的なツンデレのヒロインの恋物語を中軸に据えてはいるが、そのヒロインの名が名前が中野武子である以上、悲劇で終わるのは予め分かっていた。恋物語はツンデレものにありがちな男に都合のよい甘い展開で始まりながら、時代背景が暗い戊辰戦争なので、クライマックスはそれなりに盛り上げている。ただし、最近の戊辰戦争を描いたものとして、船戸の新・雨月があり、こちらの作者特有のドライな感覚で圧倒的な力量で描いた迫力には当然のことながら届いておらず、歴史ものとしても恋愛ものとしても、どちらにしても中途半端で終わった感が残念。それにしても、最近、戊辰から函館まで、余り今まで表舞台で語られなかった内戦ものを題材にするものが多いのは何故だろう。気のせいかな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2013年7月9日
- 読了日 : 2013年7月9日
- 本棚登録日 : 2013年3月31日
みんなの感想をみる