彗星の住人―無限カノン〈1〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年12月22日発売)
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本棚登録 : 244
感想 : 30

野田カヲルとその一族の恋を描いた「無限カノン」の第一部。
カヲルの一人娘である文緒が、幼い頃に別れたきりの父を探しに旅に出るところから作品の幕が開く。文緒に“君”と呼びかける二人称で始まる作品世界になかなか慣れず、ちょっとした違和感さえ感じてしまったが、物語が次第に見えてくると、先を急ぐように読んだ。
カヲルの系譜のルーツとして、かの有名な蝶々夫人とアメリカ兵の恋が語られ、そのあとの世代の恋にもマッカーサー元帥が絡んでくるなど、とことん日本の歴史と一族の恋とが結びつけられていく。そこを壮大な恋として受け入れるか、ちょっと鼻白んでしまうか、好みが分かれそうなところではある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 島田雅彦
感想投稿日 : 2012年9月25日
読了日 : 2007年3月31日
本棚登録日 : 2012年9月25日

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