静かに、淡々と語られる介護人キャシーの独白…。少しずつ、明らかになっていく真実。彼女の冷静な語り口が、この世界の奇妙な不思議な雰囲気を際立たせている。
まるで私もヘールシャムで過ごしたかのような気がした。それくらいに、幼少のころから青春期までの、感情や人間関係が身近で苦しい。
ルースのようにプライドの塊のような子もいたし、トミーのようにまっすぐすぎる子もいた。
眩しいくらいの希望を持ちながら、現実はとてつもなく残酷だ。
この物語の秘密は序盤で明らかになるが、前情報なしに読んでほしい。
久しぶりに寝る時間を削って、読書をした。読ませる力を感じる本だった。
☆あらすじ☆
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる 人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘール シャムの親友トミーやルースも提供者だった。 キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐら す。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診 断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態 度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明 かしていく―全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー 賞作家の新たなる代表作。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年6月5日
- 読了日 : 2014年6月5日
- 本棚登録日 : 2014年6月5日
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