作品の中に登場する料理がおいしそうで、魅力的だなと思う作家が何人かいる。ああ、この人、きっと食べることが好きだ、と嬉しくなる。
そんな作家の一人が、野中柊だ。
彼女が1995年に様々な料理をとりあげながら、料理好きのアメリカ人の夫との生活を綴ったエッセイ。
あっまーい、軽くノロケですか?というような話も多々あるのだけれど、そうやって付随する思い出や人間関係をひっくるめて語られた料理はどれもおいしそうだ。
たとえば、一番最初に登場するピーナッツバターのトースト。
ただそれだけだったらなんてことのない食べものなのに、野中柊が夫とはじめての夜を迎えた翌朝にキッチンの床にふたりで座って食べた、なんていうエピソードと語られると、なぜだかそのトーストがとてもおいしい素敵なものに思えてくるのだ。
グルメを気取らない、単純に「食べること、好き」な気持ちだけが詰め込まれた本っていいなぁ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
おいしそう
- 感想投稿日 : 2008年5月19日
- 読了日 : 2008年5月19日
- 本棚登録日 : 2008年5月19日
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