英文標準問題精講

  • 旺文社 (1999年9月29日発売)
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本棚登録 : 309
感想 : 17
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高校3年生の夏休み前に、仲の良かった友達が「これ、すごくいいらしいよ~。有名なんだって~」と言って買っていたのを見て、「えっ?いいの?これ買うといいの?」と、何も考えずに買ったものです。表紙も水色で現在よりもずっと前の版のもの。
受験前の最後の夏休みなんていう緊張感は学校中どこを探しても全く見当たらない田舎の三流高校に通っていて、本当に何も考えてなかった。
のどかだったなぁ。
塾も予備校も近くにないので通いたくても通えず、ある意味時間はたっぷりあって幸せでした。毎日本屋さんに寄ってマンガの棚で立ち読みして、その後家に帰って、「アルプスの少女ハイジ」の再放送とか見てた。
そんな感じだったので、当然ですが、たぶん当時は10問分くらいしか読んでないんじゃないかな。そもそも高校の授業でしか英文を見ることのなかった私は、まともに英文学を読むには、語彙が圧倒的に足りてなかったと思う。

てなわけで、それから何年もたって、YA向け小説や新聞記事くらいなら特にストレスなく英語で読めるようになり、でも大人向けの小説を難なく読むにはまだまだ読解力が足りないと思う今、改めて基礎から読解の勉強をしようと思ってこの本を引っ張り出してきました。

やっと読み通せて感極ってます。
こうして、17世紀から20世紀までを生きたインテリ層の文章群をまとめて読んでみると、それぞれはコマ切れながらも、一つの大きな流れみたいなものを嫌でも感じるものなのだなと、ちょっと感動しました。
知に対する渇望というか、畏怖の念みたいなもの。
あるいは愛国心(主にイギリスに対する気持ち)とその反動みたいなもの、戦争のあとの心の傷。
美徳のようなものに対する温かいまなざし、今見ると驚くほど控えめな思いやりの表現、態度。

たぶん、それぞれの原文を私が今後読むことはまずないと思うだけに、ほんの欠片でも、こんな風に解説つきでまとめて読む機会をもらえてありがたいなと、著者に感謝したいです。
受験のためとは言え、これがベストセラー・ロングセラーになる日本はまだまだ捨てたものではないかも?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英語学習
感想投稿日 : 2016年7月25日
読了日 : 2016年7月22日
本棚登録日 : 2016年7月21日

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