50歳を迎えた主人公が亡き叔父に小説で語りかけるというスタイルで話が運ぶんだけど、なぜこのスタイルにしたんだろうという疑問がずっと付きまとっていて、最後10ページほどを残したところでようやくピンときた。それを踏まえると、すごく温かみのあるいい話だ。
50歳の主人公らしく、今の仕事をするにいたった経緯や前の会社であった裏切り行為、高校に入って今更不良化する娘の描写が生き生きとしていて、合間に(かなりの割合ではあるけど)叔父さんとのエピソードがはさまれる。
「失われた10年」と言われた1990年代を、何とか僕なりに乗り越えた。と帯にある。
たしかに大変な時代だったなあ。
阪神淡路大震災のときで私は小学校5年生だったけど、前後5年を思い浮かべるとひどく息苦しくて、実際的にもものすごく大変だった記憶だけがある。
私にも主人公の叔父さんのような、90年を生き延びる必要がない人がいたら聞かせたくなるかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2012年9月24日
- 読了日 : 2012年9月24日
- 本棚登録日 : 2012年9月24日
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