ひさびさに読んだ角田光代さん!
中学生のときから好きでたくさん読んできました。
角田さんほど「苛立ち」をうまく描写できる作家さんいないと思うのです。
トクベツなものではなくて、誰もが日常的に、瞬間的に感じているであろうイライラ。
どうしようもない問題。救いようのない状態。
角田さんの物語に出てくる人間って、みんな「どっちかっていうと不幸」なんです。ていうか圧倒的に「可哀想って思われる」ような場合が多い。
でもそれって現実に生きてる人がそうなんだと思う。
不幸というと大げさかもしれないけれど、私たちはほんとに小さな小さなたくさんの不幸にぶつかりながら生きていて、それをうまく避けられたり、ぶつかっても痛いと感じなかったりする人と、ぶつかるたびに傷ついて、とうとう動けなくなってしまう人との、ふたつに分けられるんだと思います。
角田さんが描くのは後者で、その描き方がほんとうに秀逸。
もう入り込んでしまって苛々して泣きたくなって、
いつもいつも
共感することがこんなにしんどいとは!
と思わされます。 w
すっきり爽快!とはとても言えないような作品がほとんど(それも魅力のひとつ)なんだけど、
それほどリアルな作中だからこそ、ちょっと前向きだったり
明るい兆しが見えるような言葉が、ものすごく響く。
やっぱり、表題作の「おやすみ、こわい夢を見ないように」が好き。
姉弟っていいなあ~
こんなどうしようもない状態でも、お互いちゃんと相手を思ってる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
角田 光代
- 感想投稿日 : 2010年6月23日
- 読了日 : 2010年6月22日
- 本棚登録日 : 2010年6月22日
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