ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫 い 1-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (1992年6月26日発売)
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本棚登録 : 869
感想 : 45
3

北さんからの推薦。
貨幣論を返す時に感想を伝えたところ、新たに借りることに。
正直難しい。貨幣論の、ほうがまだ分かりやすかったか。。
個人的には、最後の解説にたいする解説が、一番面白かった。
たとえ「解説」という短い文章であるにせよ、付加価値をもったもののほうが同じ市場で安く売られるという事態は…。
秀逸な言い訳だ(笑)

以下メモ

利潤とは、2つの価値体系のあいだにある差異を資本が媒介することによって生み出される。
…しかし、差異は利潤によって死んでいく。…それゆえ、つねに新たな差異…を探し求めていかなければならない。

まさに企業の命題。
差異=ニーズ。
そして、現代ではイノベイションこそが差異を生み出す。
その先にあるのが顧客の創造か。

キャベツ人形
従来差異性を生み出すためにはそのたびごとに新たな商品を考え出していかなければならなかった…いわば極限的な、差異創造の方法…。
…どれほど多くの人が所有してもそのひとつひとつが持つ差異性という価値は必ずしも全部は消えてしまわない。もし人がひとつのキャベツ人形にもはや差異性という価値を見いだせなくなっても、その人はそれとは異なった人形としてのもうひとつのキャベツ人形を買うことになるかもしれない…。(本書85~86ページ)

これは、AKB 商法のことではないか。
極限的な、差異創造の方法。これがイノベイション。すばらしい。

知識とは、未来に起こりうる様々な状況の中での柔軟なる対応を可能とするための、現時点における備え…。
貨幣とは…不確かな未来に備えるための時間の買収という役割…。
われわれは、貨幣という流動性を保有するか、それとも、知識という流動性を保有するかという選択に…迫られている…。(本書223~224ページ)

知識を選択したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事関係
感想投稿日 : 2017年6月10日
読了日 : 2017年6月9日
本棚登録日 : 2017年6月7日

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