山妣〈上〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1999年12月27日発売)
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感想 : 35
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再読。
第一部では、労働と子育てに明け暮れ不要な妊娠は命がけでその始末を負わされ、老いれば闇入りかお山迷いが待っている村の女たちの過酷な宿命が語られ、二部でも希望など一つも持てない女郎たちの境遇が語られる。読み進むほどに女は割を食うことばかりとため息。
男が楽だとは言わないが、女の歴史は妊娠堕胎出産が付いて回る分、痛く辛い思いをすることが多すぎる。かと言って、琴のように男と一生無縁で生きていく覚悟もまた別の悲しい痛みを伴う。
先人たちが越えてきた厳しい人生の冬。だから、この本を読むのは雪降る真冬が相応しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2017年1月22日
読了日 : 2017年1月22日
本棚登録日 : 2017年1月22日

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