ステーション・イレブン (小学館文庫 マ 3-1)

  • 小学館 (2015年2月6日発売)
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本棚登録 : 42
感想 : 5
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舞台はカナダ、『リア王』の上演中に主演であるアーサーが心臓発作を起こす。

その死を見つめる者は、殆ど生き残らなかった。

衝撃的な冒頭である。
グルジア風邪と呼ばれる新型インフルエンザによるパンデミック。文明が崩壊した後の世界が始まる。

いつかはこういう世界がやって来るかもしれない、と思うからか、終末の世界を描いた話は好きだ。
不安や恐怖が絶え間なく押し寄せる毎日、なのにその静寂に憧れる自分もいる。

この作品は、変わり果てた世界を歩ませながら、アーサーというパンデミック以前を生きていた人物にも焦点を当てていて、交互に展開される。

「生きているだけでは、物足りない。」
女優キルステンは、進み続けていた。
荒れ果てた世界を生き抜くにはエネルギーがいるのだけど、そのエネルギーもまた、誰かが生み出した何かなのだろう。

今在る世界が愛おしくなり、人を慈しみたくなる一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2015年
感想投稿日 : 2015年3月7日
読了日 : 2015年3月7日
本棚登録日 : 2015年3月7日

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