久々の重松清。
「卒業ホームラン」は教科書にも取られているんだけど、フルで読むとまた違った味わいになる。
切り取らなくては時間に収まらないのも分かるし、家族というものをバランスよく考えた短縮の仕方なんだけど、作品を切り出す行為って本当に本当に難しいと思う。
個人的に「桜桃忌の恋人」はミラクルヒット。
太宰治好きのややこしい女の子と、ミーハー文学部男子。(に、「徒然草」推し友人)
絶妙すぎる話題に、何回吹き出したか。
こういういじくり方は、好き。
「寂しさ霜降り」では、離婚して自分勝手に出て行った父が、ガンになって余命数ヶ月を宣告され、娘にもう一度会いたい!という話。
よくあるパターンだけど、父がいなくなり、激太りした姉と神経質な妹の二人が、それぞれに痛みを背負う所が切ない。
必死で痩せてあの頃を見せようとする姉。
傷を負った上に、まだそんな健気な一面を見せる姉に耐えられない妹。
どちらの気持ちも、よく分かる。
どの作品も、なんだかぴーんと真面目なんだけど、鮮やかな心理描写に引き込まれる。
さすが、な一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2015年
- 感想投稿日 : 2015年6月21日
- 読了日 : 2015年6月21日
- 本棚登録日 : 2015年6月21日
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