たゆたえども沈まず

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著者 : 原田マハ
ミツキさん 2017年   読み終わった 

この間『近代美術史』を読んだから余計に、アカデミーの権威から印象派へ、そしてゴッホが生まれる所までの流れを面白く感じられた。

どこまでがフィクションか分からないけれど、日本という国が、ここまでフランスに切り込んでいて、尚且つ林忠正とフィンセントの間にある関係なんて、思いも及ばなかった。

テオが、兄フィンセントを慕い、尽くそうとする姿と疑問に駆られる姿に板挟みになってゆく様子が切ない。
フィンセントの苦悩は勿論あっただろうが、本作では彼を見つめるテオの眼差しが、そしてテオを心配する重吉の眼差しが軸になって展開する。
フィンセントが「星月夜」に至った瞬間は、鳥肌。
目で文字を追いながらも忠正と同じ空白の時間を得るという、不思議な体験をした。
まさにクライマックス。

そこからボロボロともう一度崩れゆく二人。
あああ、辛いなー。

一方で、フランスで浮世絵を売りさばいた忠正が、日本に「国賊」呼ばわりされるのも、印象的。
国という形なきものからの、弾圧。
そこにフィンセントが重なる、偶然。
二人とも、自分が焦がれてやまないものから弾き出されちゃうのね。

原田マハのアートミステリーは、どんどん読ませる。面白かった。

レビュー投稿日
2017年11月3日
読了日
2017年11月3日
本棚登録日
2017年11月3日
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