不思議なお話だった。
母が亡くなり、その最後の願いとして自分の死を告げて欲しい人の名前を娘に託す。
彼女が向かった先、卵町は、まるで町が死を待っているかのような無に包まれている。
そして、死を待つ人も多いその町では、人に関する情報を無闇に話してはいけない決まりもある。
逆境に次ぐ逆境で、なかなか卵町に馴染めない。
なのに、その静けさと佇んだ装いが、次第に愛おしく感じられてくる。
結局のところ、スッキリとはいかないけれど、母と娘のわだかまりはきっと溶けようとしている。
悲しいことの方が、癒やされる。
まるで、反対だと私は思ってしまうのだけど、世の中にはこの言葉がしっくりと納まる人がいるのだろうと思う。
そんな人の手に、触れるといいな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2015年
- 感想投稿日 : 2015年8月30日
- 読了日 : 2015年8月30日
- 本棚登録日 : 2015年8月30日
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