表紙から、発想にやられた!と思った。
そして、読みたい欲に駆られる。
作家のラインナップもさることながら、
冒頭、白川静からか!ああ、もう負けました。
「締め切り」というたった一日の約束事が、こんなにも多くのドラマを生み出すことの面白さ。
ある者は高揚感に満ち溢れ、ある者はどこともなく徘徊を始め、ある者は哲学に入り始める。
けれどまた、ああ、この作家は確かにこんな風に考えてそうだなぁという性格も垣間見えるから面白い。
村上春樹が締め切りは(編集者の家族のためにも)守るという話にはなんだか大きく頷ける。
反対に、川端康成が締め切り間際に半ばやけくそで書いた「禽獣」を、自身の代表作のように言われるのに不快を示すのは意外だった。
作家を目指す者でなくとも、各々の持つ仕事には大体「締め切り」があると思う。
冒頭では小学生の夏休みを例に挙げているけれど、まさに小学生からその魔の一日に抗いきれない生活をしている。
「締め切り」が刻一刻と近づいてきた時の焦燥感と、それを過ぎたからってまぁ一日二日くらいはという我儘と、そんなものに私は縛られたくない!という開き直り。
こうしたことの共感が切実に感じられ、癒される。
そして、今日も締め切りを守ろうと心の中で呟ける一冊だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2016年
- 感想投稿日 : 2016年9月8日
- 読了日 : 2016年9月8日
- 本棚登録日 : 2016年9月8日
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