平成が始まったばかりの頃、学生の私は先輩に勧められて「構造主義」の本を読んだ。
平易に書かれていたであろうその新書は、当時の私には難解だった。
ただ、現代の思想の最先端といわれる構造主義ってなんだろう?
その問いかけだけは、自分の中に残り続けた。
「大人のための読書の全技術」(齋藤隆)の「社会人が読んでおくべき50冊」の中の1冊で、この本を見つけた。
同窓会で、優秀な先輩に出会ったかのような感覚がした。
著者は語る。
「専門家のための解説書・研究書はつまらない。入門者のためのそれは面白い本に出会う確率が高い」と。
それは、知らない人のためにわかりやすく本質的なことを伝えようと努力するからだ、とも。
では、私たちはあることをなぜ「知らない」のか。
それは、「知りたくないから」。「自分があることを『知りたくない』と思っていることを知りたくない」からだ、と。子どもが親の説教をシャットアウトするように。
「寝ながら学べる」とのタイトル通り、近現代の難しい哲学的課題をわかりやすく伝えることに見事に成功している「敷居の低い」一書。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年9月21日
- 読了日 : 2017年9月21日
- 本棚登録日 : 2017年9月21日
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