雪花草子 (新潮文庫 な 49-3)

著者 :
  • 新潮社 (2012年7月28日発売)
3.71
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本棚登録 : 730
感想 : 72

なんというか、えぐい。
相当ドロドロしていて、相関図なんて書こうもんならって感じがする。
綺麗な文章がすごく耽美的な世界観を作っているけれど、よくよく内容を考えると本当に恐ろしい。

白薇童子は、一番終わり方が明るかった。
異形になっちゃったんだから決してすっきりハッピーエンドではないけれど、他に比べたら全然幸せ。まあこれも相関図を書いたらとんでもないけれど。
それにしても白薇童子は本当に綺麗なんだろうなあ。

鬼茨
たいそう悲しかった。
少年が二人、いかにも長野さんらしい、美しくて、儚げで、残酷なお話だった。
小凛が異形に身を落として朱央を殺してしまうシーンは、脳内に映像がくっきり浮かぶようだった。
二人があまりにも報われないお話。
まあ、それでもこれは人物相関はだいぶ単純。

最後、螢火夜話
これは人間関係一番とんでもない。
親子じゃん!兄弟じゃん!とかいちいちつっこんでいられない。
内容もだいぶつらい。
蝉丸がとにかく不憫で不憫で仕方ない話。
彼は何も悪くない、ただ運が悪かっただけ、というにはあまりに悲惨な運命だった。
せめて刈安にだけはすがりたかったのに、それすらも振り払われてしまう様が見ていられなかった。それが彼にとって一番残酷だったかも。

長野さんらしさ満載かつダークな短編集、読む人を選ぶかも知れないけれどハマる人はとことんハマると思う。
私はとても好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年11月8日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年10月15日

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